10月の米CPIで株価は底入れ? 今後の投資の注意点は?

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前川将吾

インフレ鈍化→株価の底入れ期待

先週発表された10月の米消費者物価指数（CPI）は、総合指数とエネルギー・食品を除くコア指数の伸びが、ともに予想以上に縮小しました。中でも、住居費を除くコア指数が前月比で下落したことなどが注目され、市場では「12月の米連邦公開市場委員会（FOMC）で利上げ幅が0.5％に縮小する」、「政策金利の最終的な到達点が5％を超えない」といった期待が高まり、金利低下・株高・米ドル安のリスクオンとなりました。

今後は、インフレの好材料 vs. 景気・業績の悪材料?

仮に今後もインフレが鈍化する場合は、米国の利上げペース鈍化→来年前半の利上げ停止→年後半の利下げの可能性も高まり、金利上昇による予想株価収益率（PER）低下主導の株安（→“逆金融相場”）が終わるとの期待が強まるでしょう。

但し、現時点で「金融政策の転換＝株価の底入れ」と決めつけるのは早計かもしれません。なぜなら、今回の急速かつ大幅な利上げが経済に悪影響を与えるラグ（遅れ）を考慮すれば、来年仮に金融政策の転換があるとしても、それは「既に手遅れ」で景気後退入りが回避できないリスクがあるためです。過去の歴史を見ても、利上げ停止や利下げ後に景気後退に陥ったケースは多くあり、その場合は逆金融相場の後に“逆業績相場”（→予想1株利益（EPS）の低下による株安）が訪れるでしょう。以上を踏まえれば、今後はインフレや金利の好材料と景気や業績の悪材料の綱引きに要注目です。

Guide to the Markets 2022年10-12月期版15ページ

【補足】10月CPIで「金利上昇一服→グロース・ハイテク株高復活」とみる投資家も、銘柄選択が重要

米連邦準備理事会（FRB）の利上げは続くものの、「過度なインフレや金融引き締め懸念は一服した」と考え、そのような見方を拠り所にこれから株式投資を積極化させようとしている一部の投資家にとっては、これまでの金利上昇でたたき売られたグロース・ハイテク株式の打診買いなどが一案になるかもしれません。
但し、上でまとめた通り、仮にこれからインフレや金利に関する脅威が弱まっていくとしても、少なくとも当面は更なる景気減速（場合によっては景気後退）や企業業績の悪化懸念が残る点には注意が必要です。従って、グロース・ハイテク株式の中でも、企業業績が景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄や、利益率が高く財務も健全なクオリティー銘柄に選別投資することを検討したいところです。

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