相対的に堅調な日本の企業業績と株価の持続性は?

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前川将吾

日米の企業業績の動向は?

足元では日米企業の決算発表が本格化し、7-9月期の実績のデータが日々出ています。但し、株式投資を考える上では今後の業績見通しにも要注目です。例えばS&P 500やTOPIXの12ヵ月先の予想1株利益（EPS）をみると、S&P 500の低下基調に対してTOPIXは上昇基調にあり、方向感が異なります。米国では金融引き締めによる景気減速やドル高などが逆風となる一方、日本では新型コロナウイルス禍からの経済再開や円安などが追い風になっていることが背景にあります。

相対的に底堅く推移する日本株式

上記の業績見通しの明暗に加えて日本株式の相対的な割安感なども影響し、年初来の日米株式のパフォーマンスを比較すると、S&P 500が18％もの大幅下落となる一方、TOPIXは5％の下落に止まっています（先週末時点、価格リターン、現地通貨ベース）。

日本株の優位性はいつまで? 注目点は?

米国を含む世界株式に対する日本株式のアウトパフォームがいつまで続くかを見極める上では、米国10年国債利回りに注目するのが一案です。過去は、米国10年国債利回りが上昇する時は日本株式が優位となり、同利回りが低下すると日本株式が劣後する傾向があるためです（→この背景については【補足】を参照）。過去の経験則通り、今年も米国の長期金利が上昇基調となる中で日本株式のアウトパフォームが続きましたが、今後は米国景気が本格的に悪化し、米連邦準備理事会（FRB）の利上げのペース鈍化や打ち止めが意識され、米国の長期金利の上昇が止まると、日本株式の優位性にも変化が見られるかもしれません。

Guide to the Markets 2022年10-12月期版59ページ

【補足】米国金利上昇→日本株式優位、米国金利低下→日本株式劣後の背景は?

米国10年国債利回りと日本株式の相対パフォーマンスが連動する傾向に関して、例えば米国金利が上昇する局面で日本株式が優位になりやすい背景を挙げてみると、①米国の金利上昇期は世界景気が堅調に推移していることが多いため、景気敏感セクターの占める割合が大きく「世界の景気敏感株」とされる日本株式が買われやすい（→右図参照）、②日米金利差の拡大による円安が追い風となる、③金利上昇期はグロース株式よりもバリュー株式の方が選好されやすくなり、バリュー株式が多い日本株式市場に注目が集まる、などがあります。
これまでは米国金利の上昇基調が続いてきましたが、今後仮に米国景気の本格的な悪化などを背景として米国金利が低下基調に転じた場合は、①世界景気の悪影響を受けやすく、②円高の悪影響が意識され、③グロース株式が相対的に少ない日本株式のパフォーマンスが劣後するリスクに注意が必要と考えます。

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