物価懸念で、米国株式が弱気相場入りに再接近
再び米国株式の弱気相場入りが近づく
今年の金融市場では「米国の高インフレ→積極的な金融引き締め→景気後退入り」が警戒されています。先週末の下記3つの悪材料はこのような投資家の懸念に拍車をかけ、S&P 500は今年1月3日の過去最高値から18.7%下落し、20%安の弱気相場入りの目安が再び近づきました。
3つの悪材料
①5月の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比の伸び率が8.6%と市場予想を上回り、40年5ヵ月ぶりの高水準となりました。また、金融市場参加者の注目度が高い食品とエネルギーを除くコアCPIの前月比の伸びも予想を上回る0.6%でした。②米ミシガン大学が発表した6月の消費者調査で、今年の2月から5月まで3.0%で不変だった5年先の予想インフレ率が3.3%に上昇した点も、インフレ懸念を強めました。③同じ消費者調査の消費者態度指数は50.2で統計開始の1952年以来で最低となり、高インフレが今後の個人消費に悪影響を及ぼすリスクが警戒されました。
但し、早期の景気後退入りを確信させる材料はまだ不足
米国の景気後退懸念がすぐに払拭される可能性が低い一方、「信用市場の急激な悪化」や「失業率の上昇」など早期の景気後退入りを示唆する材料はまだ揃っていません。これらの危険度が高いサインが点灯する前にインフレが落ち着く兆しを見せ、米連邦準備理事会(FRB)が過度な金融引き締めを回避できるかが、年後半にかけての焦点になるでしょう。(→【補足】の今週のFOMCの注目点も参照)
Guide to the Markets 2022年4-6月期版28ページ
【補足】今週は、米連邦公開市場委員会(FOMC)にあわせて公表されるドットチャートなどに注目
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