7-9月期のグローバル市場はまさに“往って来い相場”

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前川将吾

7-9月期の“往って来い相場”を振り返る

7-9月期（先週末まで）の金融市場を振り返ると、まさに“往って来い”の展開でした。これは単純に株価が上下したことだけを指しているのではなく、様々な資産の物色動向にもあてはまります。以下では7-9月期のリターンをS&P 500が高値を付けた8月16日までとそれ以降に区切って振り返ります。

8月前半までは“年前半の巻き戻し”

この期間は、年前半の過度な悲観からの揺り戻しや米連邦準備理事会（FRB）の金融引き締め懸念の低下などを背景にリスクオンとなりました。資産別のリターンランキングをみると、年前半にたたき売られ、左図のワースト3に位置していた情報技術（IT）や一般消費財・サービスセクター、グロース株式（全て世界株式ベース）がトップ3に並び、まさに“年前半の巻き戻し”でした。

8月後半以降は“年前半のやり直し”

一方、8月後半以降は、ジャクソンホール会議や先週の米連邦公開市場委員会（FOMC）でのパウエル議長の発言に代表されるように、高インフレ抑制のための積極的な金融引き締めが景気後退をもたらすとの懸念からリスクオフとなりました。同期間のリターンをみると、世界のITセクターやグロース株式などの下落率が大きい一方、日本株式（→円安や経済再開が追い風）や米国国債、世界のエネルギーセクター株式などの下落率は限定的でした。これらは左図の年前半のランキング下位・上位と似ています。

Guide to the Markets 2022年7-9月期版15ページ

【補足】米国の株価が“往って来い”の中で生じている、見逃してはいけない変化とは?

先週末時点のS&P 500は6月半ばの年初来安値に近い水準で、上記でまとめた通り、8月半ばを境目としたまさに“往って来い”でした。この原動力を①予想株価収益率（PER）と②予想EPS（1株利益、12ヵ月先）に分解して整理してみると、株価の上下動に大きな影響を与えていたのは予想PERの上下動であったことがわかります。
一方の予想EPSはあまり派手に動かなかったものの、その方向感が年前半から転換している可能性を見逃してはいけません。年前半の予想EPSは上昇し、株価を下支えする要因となりましたが、7-9月期は頭打ちに転じており、今後は米国の企業景況感などと連動して低下基調になるリスクが意識されています。今年の年初は金利上昇による割高感の修正（→予想PERの低下、“逆金融相場”）が警戒されていましたが、10-12月期からは徐々に業績見通しの悪化（→予想EPSの低下、“逆業績相場”）がより警戒される展開に移行する可能性があります。

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