世界に投資リターンの機会をもとめて
米国株は依然としてリターンの重要な源泉ですが、投資家の間では投資機会を他の地域へ広げ、分散する必要性が意識されています。
2021年2月
主要なアジアの国・地域は、世界に先駆け新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)による景気の落ち込みから回復してきています。迅速な検査体制の拡充、感染者と接触した人の追跡、行動制限などが奏功したと見られています。さらに、アジアで起きている構造変化は新型コロナによって加速された側面があり、アジアは足元だけでなく中長期的にも成長力が注目されている地域です。
アジアで構造変化による成長が見込まれる分野として、今回は東南アジアの金融サービスとデジタル・サービスをご紹介します。
金融サービス分野における成長余地
アジアにおいて、金融サービスは依然として大きな成長の余地があると見られています。例えば、保険に関して、所得が伸びているにもかかわらず、普及率は低水準にとどまっています。生命保険、年金保険、損害保険、再保険などを含む保険の普及率は、インド、インドネシア、中国、マレーシアにおいては5%未満(2017年)*1となっています。
特に東南アジアでは、一般的な金融サービスさえも十分に受けられていない人が多く存在します。成人人口4億人のうち、銀行口座を保有している人は全体の約半分、さらに総合的な金融サービスを受けている人の割合はその半分で全体の約4分の1となる26%しかいないのが現状です*2。
この状況を改善するために、東南アジア各国・地域の政府は協力し、いくつかの共通した基準の策定や、地域をまたいだ関連規制の調整に動いています。このような政策の後押しもあり、デジタルを活用した金融サービス分野の市場の拡大が期待されます。
生活様式の変化がもたらすデジタル・サービス市場の拡大
コロナ禍において、デジタル・サービスへのアクセス数と使用量が増加しており、今後もこの傾向はますます加速すると見込まれています。
さまざまな形での移動制限に直面したことで、消費者はオンラインでの消費やサービスを活用する機会が増えました。2020年、東南アジアにおいては、インターネット・ユーザーが4,000万人増加し、4億人となることが見込まれています*3。その結果、人口の70%がインターネットにアクセスすることになり、テクノロジー業界、特にeコマースやオンラインでのエンターテインメント・サービス関連の企業は、このデジタル化の恩恵を受けることが期待されています。
世界経済の減速にもかかわらず、2020年の東南アジアのインターネット関連の経済規模は約1,000億米ドルを超えると予想されています。さらに、今後も消費者や中小企業がオンライン取引やデジタル金融サービスなどを積極的に活用することが見込まれており、2025年のインターネット関連の経済規模は2019年の約3倍の3,000億米ドルを超えると推定されています。
同時に、デジタル化と在宅勤務がクラウドコンピューティング、業務用および家庭用ソフトウェアなどの関連サービスの需要を押し上げることが期待されています。
世界の中でも高い経済成長が見込まれているアジアは、このような構造変化がもたらす投資機会が豊富にあると考えています。
米国株は依然としてリターンの重要な源泉ですが、投資家の間では投資機会を他の地域へ広げ、分散する必要性が意識されています。
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