アクティブ運用とパッシブ運用の話
株式運用にはアクティブ運用とパッシブ運用があります。それぞれの違いを解説します。
2019年8月
本コーナーでは、私ども運用担当者がどのような姿勢でファンドの運用を行っているか、気軽に身近に感じていただくのが目的のひとつですが、今回は投資アイデアの発掘プロセスや運用を行う上での “視点” についてご紹介したいと思います。
株式市場はマクロ経済動向や為替相場など本当に様々な条件に基づき動いています。市場自体の上昇・下落局面のみならず、大型株主導か中小型株主導か、割安株優位か成長株優位か、など投資家の物色動向も一様ではありませんが、J.P.モルガン・アセット・マネジメントの日本株運用においては、“中長期的に、市場平均に対して高いパフォーマンスを獲得すること” を目指しています。
ここから、運用の要ともいえる、有望な投資テーマを「どのような視点」を持って発掘しているのかお伝えしていきます。
1つ目の視点:循環(サイクル)
私たちは、世界の景気循環や流行、技術革新、時代の流れなどを3年から5年、場合によっては10年単位で予想し、特に筆者は「妄想」することを重視 しています(というか、好きです)。
具体例として、過去実際に、私たちが想定した「循環(サイクル)」、そしてどのような投資行動をとったかをお伝えします。
2000年代に資源(原油をはじめとするエネルギーや金属商品など)価格が上昇基調を続けると予想したことがあります。この予想の背景には、もちろん中国の成長加速などの需要拡大要因がありました。
しかし、筆者が注目していたのはそこに留まりません。1990年代に市況低迷で開発投資がぱったり止まったことから、供給の拡大が需要拡大に追いつかなかったことも背景にあり、こうした “大きな構造的な” 循環(サイクル)にも注目をして、関連企業への投資を行いました。
結果、実際に、2000年代は高騰した資源価格をベースに開発投資ブームとなり、原油価格*1 は2008年7月に1バレルあたり約145米ドルの最高値をつけました。この時、私たちが注目していた企業が高い収益を上げられたことは言うまでもありま せん。
その後原油価格は、2016年には20米ドル台まで下落した後、足元では50米ドル台と最高値の3分の1程度の水準で推移しています。
2つ目の視点:相対
株式市場においては、投資家の物色動向、ひいてはパフォーマンスの出方には「相対する切り口」があります。例えば、景気敏感かディフェンシブか、外需か内需か、大型か中小型かという観点です。ここでも、 “太くて長い” 関係性を見出していく発想を心がけています。先ほどの例を用いて、この「相対する切り口」をお伝えします。
2001年から2008年の間は、重厚長大産業である資源関連セクターが上昇基調だった一方で、軽薄短小型の情報通信テクノロジーセクターは低迷が続きました。
理屈を言うと、新興国が成長し、資源需要が拡大する傍ら、携帯電話などのエレクトロニクス製品の市場において、市場の拡大が期待された新興国向けには最低限の機能で、価格は低く抑える動きが加速し、電子部品などが「コモディティ(資源)化*2」した、ということになります。
実はその前に、1990年代にITバブルが発生し、2000年にITバブルが崩壊した、というサイクルの影響が色濃いことにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、まさに1990年代と2000年代を通じて、ITバブルと資源バブル(コモディティバブル)という壮大な「循環」と「相対」が発生していた、ということになります。
*1 WTI原油先物価格 出所:ブルームバーグ
*2 高付加価値を持っていた商品が、後発商品との競争等によって機能面などでの優位性が低下し、一般的な商品になること。
株式運用にはアクティブ運用とパッシブ運用があります。それぞれの違いを解説します。
日本企業の業績と日本株式市場の見通し、および今後のコーポレートガバナンスの進展について、運用担当者が動画で解説します。
日本株運用チームの視点 2020年3月
日本株運用チームの視点 2020年2月
2020年1月
2019年12月
2019年12月
日本株運用チームの視点 2019年11月
日本株運用チームの視点 2019年11月
2019年10月
日本株運用チームの視点 2019年8月
2019年8月