本レポートのトピック
- 史上最高値圏で推移する米国株式に今から投資したら高値掴みになる?
- 過去のデータは、「高バリュエーション=株高終了のサイン」とは限らないことを示唆?
- 今後の株価動向のカギを握る米国の予想1株利益(EPS)の見通しは?
- マグニフィセント7以外の銘柄の再評価が始まっている?
- 今後はマグニフィセント7の中の選別投資も重要に?
史上最高値圏で推移する米国株式に今から投資したら高値掴みになる?
地政学リスクの高まりやインフレ、利上げ懸念、米国の政治動向を巡る不透明感、プライベートクレジット懸念など多くの不安材料がある中でも、S&P 500は最高値圏で推移しています。このような状況下では、「FOGI(Fear Of Getting In=参入する恐怖)」を感じたり、「高値掴みのリスク」を警戒したりするものですが、過去のデータを見る限り、過度な懸念は不要かもしれません。というのも、以下図表の【左上】で「最高値更新時にS&P 500に投資した場合(【緑色】)」と「最高値更新かどうかに関わらず投資した場合(【灰色】)」の過去の平均リターンを見比べると、①3ヵ月や6ヵ月の平均リターンはほぼ同等で、②1~5年の長期で見れば、むしろ最高値更新時に投資をしたほうが平均リターンは高かったことが分かるためです。
過去のデータは、「高バリュエーション=株高終了のサイン」とは限らないことを示唆?
足元で米国株式への投資を検討するにあたり、「最高値圏での高値掴み不安」と並んで警戒されているのが、「割高感(=高バリュエーション)」でしょう。しかし、以下図表の【左下】の棒グラフが示している通り、2026年6月末時点のように予想株価収益率(PER)が20倍以上の時点でS&P 500に投資した場合の6ヵ月後のリターンの平均値を見ると、①6ヵ月後に予想1株利益(EPS)が下落したケースでは約-8%と急落していた一方、②同期間で予想EPSが上昇したケースでは約+6%と大きく上昇していたことが分かります。
このような過去のデータを踏まえると、「予想PERが高い=近いうちに株価が下落する」という見方はあまり説得力がなく、「今後も予想EPSがしっかり上昇するのであれば、現在の予想PERが高くても更なる株高が期待できる」と言えるかもしれません。
今後の株価動向のカギを握る米国の予想EPSの見通しは?
今後のS&P 500の12ヵ月先予想EPSの動向を考えるにあたっては、以下図表の【右】で示している【赤色】の線とマーカーに注目するとよいでしょう。今年は年前半に予想EPSが伸びており、半年後の年末時点にかけても順調に拡大すると見込まれているため、上記の過去の経験則とあわせて考えると、今後は「高バリュエーションでも株高」という状況が続く可能性があります。
なお、当該チャートは各年の前年末を100として指数化した上で、2000年以降27年間分の予想EPSの推移を見ていますが、【赤色】で示している今年は過去と比べても非常に力強く業績が拡大しており、2021年に次ぐ勢いを見せている点はおさえておきたいところです。ちなみに2021年は、①2020年のコロナ禍からの経済再開、②大胆な金融緩和の継続、③手厚い財政支援の効果などの好材料が揃っていた年です。
Guide to the Markets 2026年7-9月期版で解説『米国株式:高値圏での株式投資と米国の企業業績』
マグニフィセント7以外の銘柄の再評価が始まっている?
足元では「巨大テック以外の米国企業」に対する業績期待が高まっています。実際に以下図表の【左上】で今年のマグニフィセント7 1(以下M7)とM7を除くS&P 500(=S&P 493)のEPSの伸びを見ると、①引き続き急拡大するAIビジネスなどを背景に【黄緑色】のM7がかなりの高成長を維持することが期待されている一方、②【青色】のS&P 493も19%まで増益率が加速することが見込まれている点が重要です。このようなS&P 493のファンダメンタルズの強さが評価されたこともあり、【左下】のデータを見ると、今年の前半は過去3年とは異なり、S&P 493のリターンがM7のリターンを上回っていたことが分かります。
今後はマグニフィセント7の中の選別投資も重要に?
上記ではM7と残りのS&P 493という区分で各種データを確認しましたが、最近はM7を一括りにして考えるのではなく、個々に分けてしっかり分析する必要性も高まっています。
というのも、以下図表の【右】でM7各社とS&P 500全体のパフォーマンスを見比べると、2023年と2024年は全体に対するM7のアウトパフォームが目立っていましたが、昨年から今年にかけてはM7内の格差が鮮明になり、勝ち組もかなり絞られてきていることが分かるためです。
以上の点を踏まえれば、今後は各社毎のAI競争力や投資収益率、財務状況などのミクロ要因に着目した銘柄選択がより一層重要になるでしょう。