本レポートのトピック
- 世界の景気や業績のサイクルの「基調」を見通す鍵になる経済指標とは?
- 足元のグローバル製造業PMIの動向と今後の見通しは?
- 景気及び業績サイクルの「基調」が上向きの局面で、金利と株価はどう動く?
- グローバル製造業PMIの上昇局面におけるクロスアセットの投資戦略は?
世界の景気や業績のサイクルの「基調」を見通す鍵になる経済指標とは?
以下図表の【左上】と【左下】を見ると、【緑色】で示している世界の実質GDPや【黄緑色】で示している世界株式の予想1株利益(EPS)の成長率と【紫色】のグローバル製造業PMI1(購買担当者景気指数)が密接に連動する傾向があることが分かります。PMIとは企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の状況などを毎月聞き取り景況感を指数化した景気指標であり、製造業と非製造業に分けて発表されますが、特に製造業PMIは景気動向の変化をいち早く示す指標として市場関係者から注目されています。
以上の点を踏まえれば、今後の世界の景気や業績サイクルを見通すためには、グローバル製造業PMIの動向を分析することが非常に重要と言えるでしょう。
足元のグローバル製造業PMIの動向と今後の見通しは?
以下図表の【左上】や【左下】で昨年来のグローバル製造業PMIの推移を確認すると、トランプ関税やイラン戦争などの強い逆風があったにも関わらず、上昇基調を続けていることが分かります。
それでは、足元の上昇基調は今後も続くのでしょうか。この点を考える上では、グローバルの製造業サイクルと密接に関係している在庫循環に注目するのが一案です。【右】を見ると、【青色】のグローバル製造業PMIの新規受注指数が上昇している一方、【灰色】の完成品在庫指数は横ばい圏で推移している結果、【オレンジ色】の新規受注指数を完成品在庫指数で割った指標が上向きになっています。
これは、在庫循環の観点からみて今後も製造業の生産活動が堅調に推移する可能性を示唆しており、グローバル製造業PMIの上昇継続、ひいてはそれと連動する世界の景気サイクルや業績サイクルの上昇継続が期待できる好材料と捉えられるかもしれません。
Guide to the Markets 2026年7-9月期版で解説『世界の景気サイクルの先行指標』
景気及び業績サイクルの「基調」が上向きの局面で、金利と株価はどう動く?
仮に今後もグローバル製造業PMIの上昇基調が続く場合、金融市場は米国の長期金利の高止まりと世界株高が併存する「業績相場」になる可能性があります。
このように考える理由を確認するために、まずは以下図表の【左】でグローバル製造業PMIと米国金利の関係性を見てみると、過去はPMIの上昇局面(→【赤色】で示している景気加速局面)において、「経済の体温計」である米国10年国債利回りは上昇ないし横ばいで推移する傾向があったことが分かります。
次に【右】でグローバル製造業PMIと日米株価の関係を確認すると、過去のグローバル製造業PMIの上昇期(→【赤色】で示している景気加速局面)は基本的に日米株式のリスクオン相場が終わらなかったことが見て取れます。この株高基調の背景としては、グローバル製造業PMIの上昇期は連動して企業の利益成長率も加速していることが大きく影響していると考えられます。
Guide to the Markets 2026年7-9月期版で解説『世界の景気サイクルと金利・株式の動向』
グローバル製造業PMIの上昇局面におけるクロスアセットの投資戦略は?
以下の図表は、各資産について、グローバル製造業PMIの上昇局面における1ヵ月間のトータルリターン(利息・配当を含む)の平均値を示しています。
このデータを参考にすると、①債券やゴールドなどの「安全資産」よりも株式、②株式の中ではグロースかバリューといったスタイルで考えるよりも、景気敏感(シクリカル)なセクター(→情報技術や素材など)や国・地域(→日本やアジアなどの新興国)などを選好する投資戦略が有望と言えるかもしれません。