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Guide to the Marketsで解説!イラン戦争による物価&金利上昇でも止まらない世界株高は不健全か?

本レポートのトピック

  • イラン戦争で世界景気や企業業績の見通しはどう変化した?
  • 今年の株高のドライバーは?
  • 2026年前半の株式の循環物色の特徴は?
  • 今後はどんな相場展開が予想される?

イラン戦争で世界景気や企業業績の見通しはどう変化した?

2026年2月末に勃発したイラン戦争によるホルムズ海峡閉鎖の影響は、原油に止まらず、液化天然ガス(LNG)や石油化学製品、化学肥料、半導体製造に使われる原材料など広範な分野に混乱をもたらしました。その影響を確認するために、以下図表の【左上】で世界の供給網の混乱度合いを示す「グローバル・サプライチェーン圧力指数(GSCPI)」を見ると、今年は急上昇していることが分かります。

ただし、少なくともこれまでのところは、今回の供給制約は2020年から2022年のコロナ禍やロシア・ウクライナ戦争直後ほど深刻ではありません。また、足元では一旦ピークアウトしている点は安心材料と言えます。もっとも、中東情勢は依然として不透明であり、今後の動向次第では供給制約が再度強まる可能性もあるため引き続き警戒は必要でしょう。

次に、年初と比べて世界の経済見通しがどのように変化したかを確認してみましょう。この点について、【左下】でエコノミストによる2026年の主要国・地域の成長率予測を見ると、エネルギー価格上昇の悪影響を受けやすいユーロ圏の見通しは比較的大きく悪化していますが、その他の米国や日本、中国は年初時点とさほど変わらず、潜在成長率並みの底堅い見通しが維持されています。これは、中東紛争による供給網の混乱や物価高、金利上昇などの悪影響がある一方、活発なAI関連投資や積極的な財政政策などが世界経済をしっかり支えていることを表していると考えられます。

続いて、世界の企業景況感と業績見通しがイラン戦争によってどのように変化したかを見てみましょう。上記で確認した図表の【左下】が「エコノミスト視点」のデータであるのに対して、【右上】では「企業視点」の景況感、【右下】では「アナリスト視点」の企業業績見通しが確認できます。

まず【右上】の日米欧中の総合PMIの動向を見ると、中東紛争の影響もあり3月以降は悪化したものの、①6月時点ではいずれも好不況の分かれ目である50以上であるほか、②足元は総じて改善基調に転じつつある点は明るい材料です。昨年の関税ショックと同様に、今年のイラン戦争も一時的な景況感の悪化に止まることを期待したいところです。

続いて【右下】の企業業績見通しを見てみると、こちらは年初来の相次ぐ悪材料にもびくともせず、世界的に右肩上がりの基調が続いている点は 安心材料の一つと言えるでしょう。

Guide to the Markets 2026年7-9月期版で解説『世界のファンダメンタルズ:経済見通しと企業業績見通し』

今年の株高のドライバーは?

2026年の前半は、イラン戦争やそれに伴う物価や金利の上昇、AI脅威論、プライベートクレジットに対する懸念など、様々なリスク要因が取り沙汰される中でも、株価は大幅に上昇しました。この相場展開に違和感を持つ投資家もいるかもしれませんが、以下図表の【左】を見ると、米国、欧州、アジア(除く日本)、新興国の年初来の株式のリターンはいずれも【紺色】の予想1株利益(EPS)および【緑色】の配当の伸びには及ばず、【灰色】のバリュエーションはむしろ切り下がっているため、「不健全な株高」とは言えないでしょう(→日本株式だけはバリュエーションが切り上がっていますが、これは2月の衆院選で高市政権が大勝したことにより「長期安定政権期待」が高まったことなどが影響していると考えられます)。

また、【右】で世界株式のセクター別のリターンの要因分解を見ても、過半のセクターのバリュエーションは切り下がっており、やはり株式市場に過熱感は見られません。例えば2026年前半に株価が急騰した情報技術セクターやエネルギーセクターを見ても、どちらも予想EPSが40%ほど急上昇していた点を踏まえれば、おかしな値動きとは言えないでしょう。

Guide to the Markets 2026年7-9月期版で解説『世界株式:年初来の各国・地域別、セクター別のリターン』

2026年前半の株式の循環物色の特徴は?

以下の図表で2026年前半(1-6月期)における世界株式のセクターの物色動向を確認すると、特定の株式がずっと買われ続けてきたのではなく、以下の通り各局面で異なる特徴があったことが分かります。

  1. 年初~イラン戦争勃発前(2月27日):ハイパースケーラー1による過剰投資懸念や「SaaSの死2」が意識されハイテクセクターの株価が冴えない一方、価値の高い実物資産を持つが故にAIの犠牲者になりにくいHALO(=Heavy Asset Low Obsolescenceの略称)関連セクターが買われました。
  2. イラン戦争勃発後~和平合意発表前(6月12日):中東紛争に伴う悪影響が懸念される中で迎えた決算発表シーズンでしたが、蓋を開けてみればAI投資の恩恵を受ける関連企業の業績の力強さが目立ち、情報技術セクター1強状態に移行しました。中でも、半導体をはじめとするハードウェア産業の株価が急上昇しました。
  3. 和平合意発表後~6月末:中東情勢への警戒感が和らいだことが好感された一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派化が意識されたこともあり、相場は方向感に欠ける展開となりました。情報技術セクター株式は利益確定売りなども出やすく1強状態がひとまず終わりました。

今後はどんな相場展開が予想される?

今後の相場展開について、現時点では景気敏感セクターが幅広く物色される展開を予想しています。具体的に景気敏感セクターをAI・ハイテク関連とそれ以外に分けて考えると、まず前者については、引き続き力強い業績が株価を押し上げるものの、既に高い期待が織り込まれている分、今年前半ほどの飛びぬけた株高にはならないとみています。一方、一般消費財や金融、資本財、素材などその他の景気敏感セクターは、仮にこれから中東情勢を巡る不透明感が薄れ、投資家が世界景気のサイクル改善に注目し始める場合は、見直し買いの対象になる可能性があると考えています。

Guide to the Markets 2026年7-9月期版で解説『世界株式:年初来の各国・地域別、セクター別のリターン』

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