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Guide to the Marketsで解説!2026年のリスクを徹底検証! インフレや金利上昇、プライベート市場のリスクは大丈夫?

<要旨>

景気刺激策などにより米国景気が加速し、インフレの高止まりや長期金利の上昇が起きたら株安基調に転じる?

・米国経済が強い中での長期金利の上昇は、「一時的な株安」に繋がることはあっても、業績拡大を伴っていることが多いため「株高基調」を崩すことはないかもしれません。

・一方で、ディマンドプル(需要牽引)型の環境ではなく、2022年のように供給ショックが原因で「経済悪化&物価高&金利上昇」が同時に起きる稀なケースの場合は、株安基調となる可能性があります。現時点では持続的かつ深刻な供給ショックの発生をメインシナリオとはしていませんが、地政学リスクの動向は引き続き要注視でしょう。

信用市場に潜むリスクは大丈夫?

・米国のプライベート市場などにおける投融資基準の緩みや、一部の中堅格付け会社による「格付けの水増しリスク」などには警戒が必要です。

・ただし、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めや米国の景気悪化が本格化するまでは「潜んでいるゴキブリが大量に見つかるリスク」は低いとみています。また、信用市場の一部に問題があったとしても、米国の企業全体や家計全体でみた債務状況が健全である点は安心材料です。

長期金利・信用市場などを巡るリスクや突発的な地政学イベントの可能性を踏まえると、今年はどんな相場になる?

・今年の株式相場は一本調子で右肩上がりというより、多様なリスクによる短期調整を挟みながらの上昇になるとみています。

・ただし、過去の歴史を振り返れば、「株の上昇相場における10%前後の短期調整」はよくあることです。したがって、冷静にファンダメンタルズの「基調」を確認し、問題なければ押し目買いを検討するのも一案です。

<本文>

景気刺激策などにより米国景気が加速し、インフレの高止まりや長期金利の上昇が起きたら株安基調に転じる?

先日リリースしたレポートでは、AIバブル崩壊のリスクについて記載しましたが、本レポートではAIバブル崩壊以外の2026年の主要なリスクについて検証していきます。

まずは、景気刺激策などにより米国景気が加速し、インフレの高止まりや長期金利の上昇が起きて株安基調となるリスクについて考えてみましょう。

以下の図表は、米国の経済・物価のサイクルと株価と金利の関係を示しています。【オレンジ色】は米国の消費者物価指数(CPI、前年比)、【紫色】はISM製造業景況感指数(3ヵ月移動平均)を示しています。ISM製造業景況感指数は、50を超える場合、前月と比べて企業の景況感が改善していることを示し、反対に50を下回る場合には、前月と比べて企業の景況感が悪化していることを示します。【紺色】は米国10年国債利回り、【緑色】はS&P 500のトータルリターン指数を示しています。

2026年は様々な景気刺激策の影響もあり、米国経済は潜在成長率を上回る成長をみせる可能性があります。同時にAIによる生産性向上が十分に発現すれば問題ありませんが、そのような助け船が無ければ、「経済の体温計」である物価や長期金利は高止まり、ないしは上昇するリスクがある点には注意しておきたいところです。

ただし、物価や金利に上昇圧力がかかっていても、その原因が米国経済の強さであれば、「一時的な株安」はあっても「株安基調」にはならないと考えています。実際に過去のデータを見ると、長期金利の上昇局面を示している【灰色の網掛け部分】では、【紫色】のISM製造業景況感指数とともに【緑色】のS&P 500が上昇する傾向(=景気が強く、業績もしっかりと伸びるので「業績相場」になる傾向)があることが分かります。

上記ではディマンドプル型のインフレ高止まりや長期金利上昇のケースを確認しましたが、稀に発生する供給ショックによる物価急騰の場合は、株式に強い逆風が吹く可能性がある点には注意が必要です。その一例として2022年の状況を【黒枠】の期間で確認すると、当時は新型コロナウイルス禍に伴う供給網の混乱とウクライナ戦争による資源・食料価格高騰が重なる環境下で、インフレと長期金利が急上昇する一方、景気減速でISM製造業景況感指数は低下していました。このような状況はまさに株式にとって「ダブルパンチ」の状況であり、1年未満とはいえ株価が大きく下落していたことが分かります。現時点では、2022年のような持続的かつ深刻な供給ショックよりも、ディマンドプル型の物価・金利リスクの方を意識していますが、地政学リスクの動向にも常に注意を払う必要があります。

Guide to the Markets 2026年1-3月期版で解説『米国:経済・物価のサイクルと株価と金利の関係』

信用市場に潜むリスクは大丈夫?

次に、信用市場に関するリスクについて考えてみましょう。

2025年秋に米国の自動車部品メーカーや米中古車販売・ローン事業者が相次いで経営破綻する中、米JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が「ゴキブリが一匹いたらおそらくもっとたくさんいるだろう」と発言したことなどがきっかけとなり、投資家の間では信用リスクへの懸念が一気に高まる局面がありました。その結果、以下の図表の【左】で示している通り、2025年の秋以降の金融市場では、【緑色】のS&P 500の上昇基調が続く一方、【灰色】のBDC1(ビジネス・ディベロップメント・カンパニー)や【紺色】のS&P 500保険セクター株式は低迷するという2極化が発生しました。

BDCへの警戒感が強まった理由は、プライベートクレジット市場がこれまで急速に拡大し、豊富な資金を背景に融資案件を巡ってファンド同士が激しく競い合った結果、「質の低い貸し出しが増えたのではないか」との懸念が広まったことが影響しています。結果として、市場参加者の間では、主に未上場の中堅・中小企業などに融資や投資を行っているBDCに対する評価が悪化しました。

また、保険会社についても同様に、プライベートクレジットに関わるリスクが意識されました。具体的には、これまで米国の保険会社がプライベートクレジットへのエクスポージャーを拡大させてきたことに加え、その投資先の格付けが実態よりも「水増し」されているのではないかという疑念(→大手ではなく主に中堅格付け会社による「質の低い格付け」を基に投資を増やしてきたとの懸念)などが話題となりました。

それでは、このような信用市場のリスクが金融市場全体や経済全体へのショックに繋がるかどうかを考えてみましょう。少なくとも現時点では、次の2つの理由から、過度に懸念するのは時期尚早と考えています。

まず第1に、仮にプライベートクレジット市場などで質の悪い貸し出しが蔓延していたとしても、その貸出先の本格的なデフォルトは、FRBの金融引き締めやそれによる本格的な景気悪化が起きるまでは続出しない可能性があるためです。

第2に、仮に信用市場の一部で問題が発生したとしても、【右上】で示している家計の債務状況や【右下】で示している企業(非金融)の債務状況の通り、米国の家計全体や企業全体でみた債務状況が健全であるという点(→債務対GDP比や債務返済比率が低いという点)を踏まえれば、それが防波堤となり、金融市場全体や経済全体への悪影響が限定的になる可能性があることも安心材料でしょう。

1 BDCは、主に未上場の中堅・中小企業などに融資や投資を行うクローズドエンド型の投資法人のことを指します。

Guide to the Markets 2026年1-3月期版で解説『米国:信用懸念と家計と企業の債務状況』

長期金利・信用市場などを巡るリスクや突発的な地政学イベントの可能性を踏まえると、今年はどんな相場になる?

今年の力強い世界経済および企業業績と各種政策によるサポートなどを踏まえれば、「株高基調」は終わらないとみています。ただし、上記で確認してきた米長期金利の上昇や信用市場に関するリスク、突発的な地政学イベントなどが 「一時的な投資家センチメントの悪化」をもたらす可能性には注意が必要です。言い換えれば、今年の株式相場は一本調子で右肩上がりというよりも、短期調整を挟みながらの上昇になる可能性があるとみていますが、そのような短期調整に直面した際は、「株式の上昇相場における10%前後の短期調整はよくあること」という過去の歴史を踏まえて、冷静に対処したいところです。

この点に関しては、以下の図表の【左下】で示している「1980年以降のS&P 500の年間リターンと最大ドローダウンの歴史」が参考になります。これを見ると、過去は年間リターンがプラスの年(→平均値は+18%)でも、年間の最大ドローダウンは平均で-11%に達していることが分かります。実際に2025年を振り返ってみても、S&P 500は年間で+16%の高リターンとなりましたが、2025年4月に生じた米相互関税ショックの際には最大ドローダウンが-19%に及んでいました。

以上のデータを踏まえれば、株式市場の急落時は、冷静に景気や企業業績の「基調」を再確認し、それが崩れていないようであれば、時間分散を活用しながら押し目買いを検討するのも一案かもしれません。

Guide to the Markets 2026年1-3月期版で解説『米国株式:年間のリターンと最大下落率(ドローダウン)』

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