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Guide to the Marketsで解説!AIバブルは崩壊間近? AIバブル崩壊に備えた投資戦略は?

<要旨>

過去のITバブル崩壊の歴史から学ぶ!現在のAIバブルは崩壊間近?

・様々なデータを見る限り、少なくとも現時点では、AIを巡る過剰投資・収益化・バリュエーションに対する懸念はそこまで深刻ではないとみています。

・足元は「AIバブル」というより、「AIブーム」に近いと考えています。バブルと同様にブームもいつかは収束しますが、ITバブル崩壊時に見られた、「FRBの過度な利上げ」や「ハイテク企業のファンダメンタルズ悪化」といったカタリストはまだ差し迫っていません。

AIバブル崩壊に備えた投資戦略は?

・「近い将来のAIバブル崩壊」はメインシナリオではありませんが、もしそのリスクに備えたい場合は、ITバブル崩壊時の歴史から学び、「バリュー系の出遅れ株式」に投資をすることが一案かもしれません。

・2025年11月に「プチAIバブル懸念」が発生した際は、ChatGPT登場後に急騰したAI・ハイテク関連株式から、出遅れ気味のバリュー株式やディフェンシブ系の株式へのローテーションが起きていました。これは「将来のAIバブル崩壊時の予行演習」だった可能性があります。

<本文>

過去のITバブル崩壊の歴史から学ぶ!現在のAIバブルは崩壊間近?

以下の図表は、現在のAIバブル懸念と過去の米国のITバブルの歴史について見ています。

足元では、AIに対する強い期待がある一方、様々なリスクも意識されており、投資家のセンチメントが揺れ動いています。以下では、過去・現在・将来のデータを確認しつつ、①過剰投資、②収益化、③バリュエーションの3つの主要なリスクを分析することで、AIバブル懸念とどのように向き合えばよいかを記載しています。

まずは「①過剰投資のリスク」についてです。【左上】は、米国の主要なAIハイパースケーラーによる設備投資とキャッシュフローの推移を示しています。主要なAIハイパースケーラーは、AI導入に不可欠なクラウドサービスなどを提供する企業のことで、ここではマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、オラクルの5社1を示しています。

足元で問題視されているのは、【青色】の設備投資額の急増により、【灰色】のフリーキャッシュフローが減少する点です。しかし、今後の予想値を見ると、クラウドやAIビジネスなどの収益化が更に進むことで【緑色】の営業キャッシュフローが力強く伸びることが見込まれる結果、巨額の設備投資を差し引いてもフリーキャッシュフローは今年で底打ちし、来年には再び増加することが予想されている点は安心材料です。

以上の点を踏まえれば、少なくとも現時点では、「過剰投資」というよりは「財務面にも配慮した、需要に基づく積極的な成長投資」と捉えることが可能でしょう。

とはいえ、ハイパースケーラー各社で財務状況が異なる点には注意が必要です。今後はハイパースケーラーに限らず、幅広いAI関連銘柄の中で勝ち組と負け組の見極めが求められ、結果的に「目まぐるしく変化する選別投資」が続く可能性があります。

次に、「②AIビジネスの収益化」に関するリスクについてです。上記では、営業キャッシュフローの力強い拡大期待によってAIへの過剰投資懸念が和らいでいることを確認したものの、その稼ぐ力の強気見通し自体が妥当かはしっかり検証する必要があります。

この点については、【左下】で示している米ペンシルベニア大学の調査結果などが参考になるでしょう。同調査によれば、米国企業の7割超が「生成AI関連の投資利益率(ROI)は大幅又は一定程度プラス」と回答しており、それ故に8割以上の企業が「今後2~5年間で生成AI関連投資の予算額を増加する」という方針を示しています。当該データのみならず、その他の多くの調査データでもAI支出に関して前向きな結果が多く出ていることを考慮すれば、少なくとも現時点では、AIビジネスの収益化は進展する可能性が高いと考えられそうです。

最後に、「③足元のバリュエーション」についてです。ChatGPTが登場した2022年11月から3年超が経過し、その間に投資家はAIのポテンシャルに熱狂してきたことから、「AIを含むハイテク株式のバリュエーションは異常な水準まで高まっているのではないか」と懸念する投資家もいるでしょう。

しかし、【右上】でここ数年の相場を牽引してきたマグニフィセント7の予想株価収益率(PER、均等加重指数ベース)の水準を見ると、足元は約30倍で過去10年間の平均値と概ね近い水準にあり、過度に高いわけではないことが分かります(注:マグニフィセント7はアップル、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラの7社1を示しています)。これは、マグニフィセント7の大幅な株価上昇が高い利益成長見通しを伴うものであったことを表しています。

また、【右下】を見ると、2000年のITバブル期における米国の情報技術セクターの株価のピーク時は予想株価収益率(PER)が約51倍まで急騰していたのに対して、足元は(決して割安ではありませんが、)27倍に止まっていることが確認できます。

以上3点のデータを踏まえれば、現在は「AIバブル」というより「AIブーム」という印象で、過去の米国のITバブル期ほどの熱狂には至っていないと考えています。ただし、程度の問題はさておき、ブームもバブルと同様に、いつかは期待が萎む点には注意が必要です。したがって、投資家が今考えるべき問題は、そのブームもしくはバブルの収束が「いつ、どんな条件で起こるのか」ではないでしょうか。

この点に関しては、やはり過去の米国のITバブルの崩壊が1つの参考になるでしょう。【右下】で当時の状況を振り返ると、主に①金融環境および投資家センチメントと②ファンダメンタルズの2つの悪化がカタリストとなり、ITバブルが崩壊したと解釈できるかもしれません。

具体的には、①米連邦準備制度理事会(FRB)が1999年6月から利上げを開始し、2000年2月に「引き締め過ぎのサイン」である米10年国債と米2年国債の逆イールドが発生すると、その翌月にS&P 500の情報技術セクター株式がピークを付けたことが分かります。②その後、FRBが利上げを停止すると情報技術セクター株式は再び上昇を試したものの、2000年後半にハイテクビジネスの動向を象徴する世界の半導体売上高がピークを付けると、情報技術セクター株式は本格的な長期下落トレンドに入ってしまいました。

以上の歴史を踏まえた上で足元の状況を確認すると、現時点ではFRBの利上げに伴う逆イールド発生や半導体売上高の拡大終了などのカタリストが差し迫っているようには感じられないため、「AIブーム」はまだ続いてもおかしくないとみています。

1 上記は個別銘柄の推奨を目的として示したものではありません。弊社若しくは弊社グループ会社又はそれらの従業員は上記で言及している有価証券を保有している場合があります。

Guide to the Markets 2026年1-3月期版で解説『現在のAIバブル懸念と過去のITバブルの歴史』

AIバブル崩壊に備えた投資戦略は?

現時点では、上記の通り「AIバブルの崩壊が差し迫っている可能性は低い」とみていますが、一部の投資家が今のうちからこのリスクに備えておきたいと考えているのは間違いないでしょう。足元の相場環境は過去の米国のITバブルと部分的に類似性があると指摘されていることを踏まえると、AIバブル崩壊に備えた投資戦略を考える上では、ここでも過去の米国のITバブルの歴史が参考になるかもしれません。

以下の図表の【上】でITバブルのピーク前後5年間の株価動向を見ると、1995年3月から2000年3月のピークまでの期間にかけて株価が急上昇していた情報技術、電気通信、グロース、世界全体、一般消費財の5資産は、バブル崩壊後の5年間で株価が長期低迷していたことが確認できます。一方、それ以外のバリュー株式や7つのセクターは、ITバブルのピークまでの5年間も、バブル崩壊後の5年間も上昇していたことが分かります。

以上の歴史を踏まえれば、バブル懸念への対応策としては、バブル最盛期に出遅れており、さほど過熱感がないセクターやスタイルの株式に投資をするのが一案でしょう。

次に、仮にAIバブルが崩壊した場合、過去のITバブル崩壊後にみられたような「出遅れ株の逆襲」が起きるかどうかについて考えてみましょう。

結論を先取りすると、その可能性はあると考えています。というのも、【下】の表で2025年11月に一時的にAIバブル懸念が高まった局面を振り返ると、ChatGPTリリース後に大幅上昇してきたAI・ハイテク関連セクターが下落した一方、同期間で過熱感が生じなかったバリューやディフェンシブ系のセクターは上昇し、株式市場内での循環物色が見られたためです。

2025年11月は一時的な懸念で収まりましたが、当時の市場動向は、「将来AIバブルが崩壊した際に起き得る、出遅れ株へのローテーションの予行演習」として参考になるかもしれません。

Guide to the Markets 2026年1-3月期版で解説『AIバブル懸念の対応策:出遅れ株への循環物色』

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