Guide to the Marketsで解説!米中間選挙を控え、トランプ政権の軍事・財政・関税政策はどうなる?
本レポートのトピック
- 米国の中間選挙を睨んでトランプ政権はどう動く?
- 軍事政策(イラン戦争など)の見通しは?
- 財政政策の見通しは?
- 関税政策の見通しは?
米国の中間選挙を睨んでトランプ政権はどう動く?
今後の米政権の政策を考える上では、引き続きトランプ大統領の支持率の動向を追う必要があると考えています。そこで以下の図表の【左上】で示しているトランプ大統領の支持率を見ると、発足直後に50%を超えていた支持率は、昨年の関税政策や政府機関閉鎖などが原因で下落し続け、今年のイラン戦争開始後の3月には第2次トランプ政権発足後で最低の41%まで落ち込む場面も見られました。第1次トランプ政権時の支持率と選挙結果の関係を振り返ると、当時の米国の中間選挙や大統領選挙は45%前後の支持率で敗北した過去があるほか、足元では「今年の中間選挙は下院のみならず上院でも民主党が勝利する」との見方が一部で強まっているため、トランプ大統領はこれから支持率のテコ入れを図る必要があるでしょう(→イラン戦争前は、下院は民主党が勝利するものの上院は共和党が勝利するとの見方が優勢になっていました)。
これらの材料を踏まえれば、足元から秋にかけては、支持率を上げるために物価や雇用、経済への取り組み強化が必要と考えられ、具体的には以下のような経済・市場フレンドリーな軍事・財政・関税政策が続く可能性が高まっているとみています。
軍事政策(イラン戦争など)の見通しは?
米国の中間選挙の主要争点となる「アフォーダビリティー(生活に必要な物・サービスなどの価格の手頃さ)」を改善するためには、【左下】で示しているガソリン価格や住宅ローンをはじめとする金利動向が非常に重要になるでしょう。まずガソリン価格に関しては、ドライブシーズンを迎える5月下旬から9月上旬までに価格を引き下げることが求められるほか、金利についても米連邦準備制度理事会(FRB)新議長が早期の利下げを実現できる素地を整えるためにインフレ加速のリスクを低減させておく必要があるでしょう。これらの目標を達成するためには、イラン戦争を早期に終結させ、原油価格などを一刻も早く落ち着かせることが必須となるはずです。
財政政策の見通しは?
企業及び家計向けの減税が米国経済や企業業績の追い風となり、イラン戦争などがもたらす悪影響を緩和する見込みです。例えば企業向け減税に関しては、国内研究開発費の控除や設備投資の全額を1年目に所得から差し引ける特別減価償却などが、引き続き米国内の投資や株主還元の拡大に繋がるとみています。
一方、家計向け減税については、【右上】で示している通り大型の減税・歳出法(OBBB法)の影響で今年の所得税の平均還付額が増加することが見込まれているほか、納税額の減少も予想されているため、これらが今年の第2四半期から第3四半期にかけて個人消費の押し上げ要因になる可能性があります。
以上は現時点で既に決まっている財政政策ですが、一部の投資家の間では、「中間選挙前にトランプ政権が追加の刺激策を打ち出す」との見方もあります。このような追加の財政出動に対しては共和党内の反発もあるため、現時点の市場ではさほど織り込まれていないと思われますが、中間選挙が近づくにつれて仮に現実味を帯びてくるようであれば、消費関連株式などへの追い風になるでしょう。
関税政策の見通しは?
【右下】で示している米国の全輸入品の平均関税率の試算値の変遷を見ると、昨年4月8日のピークの30%→国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税が違憲になる前の約16%→通商法122条に基づく関税発動後の12%へと低下基調が続いていることが分かります。
今後は、足元の150日間限定の追加関税に代わる新たな関税(→通商法301条や通商拡大法232条など)の発動が見込まれるものの、今秋に中間選挙があることを踏まえれば、新たな関税政策が「IEEPAが違憲になる前」よりも家計や企業に大きな打撃を与える設計になる可能性は低いと考えています。