Guide to the Marketsで解説!2026年の市場のリスクシナリオに上手く対応できる資産は?
<要旨>
2026年は好材料と潜在的なリスクが入り交じる中、相場の乱高下に上手く対応できる資産は?
・今年は相場の上下動が激しくなると見込むならば、ある程度リスクを抑えながら適度なリターンが期待できる(=投資効率が良好な)米国ハイ・イールド債券への分散投資が一案です。
・過去のデータに基づけば、「今年」ではなく、「今後10年」という長期スパンで考える場合は、米国株式よりも米国ハイ・イールド債券の方が投資妙味が高い可能性があります。
「現在の市場の楽観的な経済見通しには賛同できず、米解雇急増→景気後退のリスクシナリオに備えた資産運用をしたい」という投資家向けのアドバイスは?
・2026年内の米国の景気後退入りは現時点におけるメインシナリオではありませんが、多くの市場参加者が足元の労働市場の弱さに「漠然とした気持ち悪さ」を感じているのは事実でしょう。
・2026年の米国の経済動向を悲観的にみている投資家は、過去50年超における全ての景気後退期をプラスのリターンで乗り切った、「信用力の高い米国債券」への投資を検討してもよいかもしれません。
<本文>
2026年は好材料と潜在的なリスクが入り交じる中、相場の乱高下に上手く対応できる資産は?
別のレポートでは、2026年の各種好材料が「相場の上昇基調」を形成する可能性がある一方、「短期調整」を招き得るリスクが増加してきている点も考慮し、今後は「乱高下を伴いながらのリスクオン」相場になる可能性を指摘しました。
こうした局面では、ある程度投資の怖さを抑えながら、適度なリターンをしっかり稼ぐための投資対象として、米国ハイ・イールド債券への関心が高まる可能性があります。
このように考えられる背景としては、相場の上昇・下落時にみせる同資産の「非対称的な値動き」があります。この実績について、以下の図表の【左】で過去のパフォーマンスの平均値を見てみると、米国ハイ・イールド債券は、①米国株式が下落する月に30%強しか追随しなかった一方、②米国株式が上昇する月には50%ほど追随したため、③上昇と下落を合わせた通期の投資効率(=トータルリターン÷リスク)が株式より高かったことが確認できます。
また、今から「長期投資」を検討する場合には、米国ハイ・イールド債券は有望な資産クラスの一つと言えるかもしれません。例えば、「今から10年程度の投資」を検討する場合は、各資産の投資開始時点の利回りに注目することが重要です。というのも、【右下】で【黄緑色】の米国株式と【紫色】の米国ハイ・イールド債券の棒グラフを見ると、両資産とも、横軸の投資開始時点の利回りが高ければ高いほど、その後10年間におけるトータルリターン(年率換算)の平均値が高いことが確認できるためです。
このデータを踏まえた上で、【右上】で直近の米国株式の益回りと米国ハイ・イールド債券の最低利回りを見ると、昨年末時点では米国株式の益回りが4.5%と米国のITバブル期並みの歴史的な低水準で推移している一方、米国ハイ・イールド債券の最低利回りは昨年末時点で6.6%と過去対比でさほど悪くない水準に位置していることが分かります。ここで改めて【右下】に戻ると、過去は足元のように米国株式の益回りが4%台の時に投資をした場合、その後10年間のトータルリターン(年率換算)の平均値が約1.0%と冴えない一方、米国ハイ・イールド債券は足元の6%台で投資をした場合、同リターンは約5.2%と相対的に高かったことが示されています。
Guide to the Markets 2026年1-3月期版で解説『米国ハイ・イールド債券の魅力』
「現在の市場の楽観的な経済見通しには賛同できず、米解雇急増→景気後退のリスクシナリオに備えた資産運用をしたい」という投資家向けのアドバイスは?
近い将来の米国の景気後退入りは現時点におけるメインシナリオではないと考えていますが、米国の労働市場の冷え込みに対する警戒感が根強いのは確かで、足元の「低採用・低雇用」がいきなり「解雇急増」へと変貌しないかは常に気がかりです。
このような状況下では、多数派ではないかもしれませんが、米国の景気後退に対応できる投資戦略を考えておきたいという投資家も一定程度いるでしょう。そのため、以下では過去の米国の景気後退期に堅調だった資産を見てみましょう。
以下の図表は、米国の景気後退期の債券(投資適格)のリターンを示しています。過去50年超の歴史の中で、米国は7回の景気後退(→【灰色の網掛け部分】)を経験しましたが、その全ての景気後退期においてプラスのリターンを確保したのは【緑色】で示している米国債券(投資適格)でした。ここで特筆すべき点は、1970年代の第1次オイルショックや第2次オイルショックによって生じた「10%超の大インフレを伴う景気後退期(=スタグフレーション期)」においても、米国債券(投資適格)のリターンはプラスになっていたということでしょう。当時の米連邦準備制度理事会(FRB)は、「大インフレを抑制するためには利上げが必要な一方、景気後退に対応するためには利下げが必要」というジレンマに悩まされていたと思われますが、最終的には後者の利下げを選択し、米国債券(投資適格)は堅調に推移しました。「結局FRBは、(たとえ大インフレが起きていても)景気後退期には利下げする」という過去の経験則を踏まえれば、米国国債などの「信用力の高い米国債券」は今後の景気後退への備えとして有望な資産の1つと考えられます。