Guide to the Marketsで解説!不透明な環境下こそ分散投資? ② ~為替ヘッジ有/無の分散~

<要旨>為替ヘッジ有/無の分散

足元の為替市場の不透明感を踏まえれば、「資産の分散」だけでなく、海外ファンドの「為替ヘッジ有/無の分散」も検討したいところです。

Guide to the Markets 2025年4-6月期版を解説『為替:日米の金融政策と米ドル円と為替ヘッジ』

足元の日米金融政策の方向性の違いや米政権による円安是正観測等を踏まえれば、今年は折に触れて円高・ドル安圧力が強まる年になる可能性があります。ただし、一方的に「ずっと円高基調」というわけでもないとみています。米政権の「関税などの負の政策の“緩和”」や「減税などの正の政策」に焦点が当てられる局面になれば、米金利が持ち直し、円安が進む場面もあると考えています。

以上の点を踏まえると、今年は株式市場と同様にドル円相場も乱高下し、不透明感が強い状況が続く可能性があります。なお、過去の歴史を見ると、上記の図表の【右】が示す通り、そもそもドル円の変動性は非常に高く、前年比で10%や20%の騰落率になる可能性があることは覚悟しておくべきでしょう。

今後は為替相場の高い変動リスクが意識される中、ここ数年は歴史的な円安基調と高かったヘッジコストによって「ヘッジ無」の海外ファンドに偏っている投資家が多いと考えられます。「ヘッジ無」の場合は、リスクオフが生じた際に海外のリスク資産価格の下落と円高の「ダブルパンチ」が生じる可能性があるため、この点は日本の資産運用ビジネスにおける大きな懸念材料の1つといえるでしょう。

今後は、日米の政策金利差が縮小するにつれヘッジコストも低下していく(→円高リスクに備える保険料が下がっていく)可能性があることも加味すれば、現在保有している海外ファンドの「ヘッジ有」と「ヘッジ無」の割合をいま一度見直し、過度な偏りがある場合は必要に応じてバランスをとることを検討してもよいでしょう。