米国株は依然としてリターンの重要な源泉ですが、投資家の間では投資機会を他の地域へ広げ、分散する必要性が意識されています。
米国株投資が唯一の選択肢ではない
生成AI関連企業の長期的な利益成長への期待から、米国株は過去1年間で大幅な上昇を記録し、S&P 500指数は2024年、史上最高値を更新しました1。米国株式市場は依然としてリターンの重要な源泉ですが、米国以外の株式市場に上場する株式にも投資を行い、リターンの源泉を分散することを多くの投資家が検討しているとみられます。米国株式市場以外にも多くの投資機会が存在することを思い出しましょう。過去22年間の世界の先進国株式指数2の年間リターン上位50銘柄の内訳を調べてみると、多くの割合の株式が米国以外に上場する先進国株でした。さらに22年間の平均では上位50社のうち、約29社が米国以外に上場する先進国株であるというデータ結果となっています。株式のトップ・パフォーマーは、常に米国株というわけではなく、米国株と米国以外の先進国株の間で揺れ動いてきました。下記のデータは地域に関わらず、幅広い投資機会が存在することを示しています。アクティブ運用を行う場合は重要な投資環境といえます。
リスク分散のために視野を広げる
特定の地域にこだわらず、良質の投資機会を探すことは、市場や地域特有のリスクを緩和する役割を果たします。グローバルに視野を広げることで、アクティブ運用を行う際に、選択できる企業の範囲が広がり、地域、セクター、通貨に関わらず、分散の恩恵を享受し、ポートフォリオ全体の変動性を低減する可能性があります。
世界の「構造変化」は地域限定ではない
世界の「構造的な変化」は一つの地域で起こるわけではありません。例えば、AIの導入は投資家にとって当面、重要なテーマであり続けるでしょう。米国の一握りの「メガ・キャップ(超大型)」企業に注目がいきがちですが、より広範な地域で投資機会が存在すると考えます。実際、生成AIは多岐に亘って影響を及ぼし、米国の一部の企業だけでなく、テクノロジー・セクターのサプライ・チェーン全体に影響を与える可能性があります。上流のAI開発を担う半導体メーカーから、下流のソフトウェア・エンジニアリング、製造業、医療など、AIを導入する企業の数は増え続けており、投資機会は多様に存在します。米国の一部のAI関連企業が広く知られている一方で、台湾、韓国、ヨーロッパなどの市場には、サプライ・チェーンの工程において重要な役割を果たすニッチな企業が多数存在し、AI関連製品の需要増加の恩恵を受けています。現段階は、生成AIが浸透する初期段階に過ぎず、技術が進化し、普及するにつれて、世界の株式市場のけん引役が今後変わる可能性もあると考えています。
見通しは良好だが、選択は慎重に
世界株式市場の利益予想は比較的良好な見通しを描いています。多くの地域では2023年の低迷から利益成長が加速することが予想されています。実際に、幅広いセクター、地域の企業で、利益成長の兆しが見られています。株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを見る指標である株価収益率4では、米国株の株価水準は過去15年間の歴史と比較してやや高めに見える一方で、他の地域は長期平均に近い水準に見えます。ボトムアップ・アプローチの銘柄選択にとっては良好な環境と考えられます。
長期リターンの獲得にはアクティブ運用が重要
経済成長の鈍化、高い資本コスト、地政学的リスクの高まりなど、厳しいマクロ環境では、銘柄選択とアクティブ運用がより重要と考えます。世界は広く、経済および金融市場の発展度合いの異なる様々な市場があります。さまざまな政治体制、政策運営、ビジネス慣行の違いは、世界で投資機会を探る際に、投資家自身が気づかない特有のリスクがある可能性もあります。
そのような投資環境では、現地に根差した運用拠点を持ち、かつグローバルなリサーチ・プラットフォームを有し、厳格で再現可能な投資プロセスが重要だといえます。こうしたプロセスにより、世界を取り巻く「構造変化」に対応でき、潜在的な「勝者」と「敗者」を選別することが可能であると考えます。さらに、幅広い投資機会に視野を広げることで、柔軟性を保ちながら、リスクを考慮し、確信度の高いアイデアに資産を配分することができるとも考えます。
スタイルよりも質を重視:「全天候型」ポートフォリオから長期的なリターンの成長を追求
J.P.モルガン・アセット・マネジメントは、30年以上にわたって確立された、規律あるボトムアップ・リサーチを活用し、さまざまな市場環境で競争力、継続性のある運用を追求してきました。豊富な情報源及び人材を活用した株式リサーチ・プラットフォームは、どの投資スタイルが流行しているかに関係なく、魅力的な株価水準を持つ、質の高い銘柄を発掘することを可能としていると考えます。長年にわたって蓄積し、構築してきたアプローチは、グロース、バリューの両方の市場環境で一貫したパフォーマンスを達成する一助となったと考えています。
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