投資家の関心はインフレ&利上げ→景気&企業業績へ?
米インフレの現状と今後の見通しは?
先週12日に発表された3月の米国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で+5.0%、前月比で+0.1%となり、市場予想をやや下回りました。また、エネルギーと食品を除くコア指数は前年同月比で+5.6%、前月比で+0.4%と市場予想通りの結果となりました。現時点では米連邦準備理事会(FRB)の目標の2%を大きく上回っていますが、下記3点などを踏まえれば、米国のインフレ率は今後も鈍化基調を辿ると見ています。①インフレ率に先行する傾向がある図の【オレンジ色】の販売価格の引き上げ計画(中小企業調査)は低下し続けています。②【紫色】の住居費の伸びは高止まっているものの、これに先行する傾向がある【黄緑色】の住宅価格がピークアウトしている点は安心材料です。③【灰色】の賃金上昇率に先行する傾向がある【青色】の人件費の引き上げ計画(中小企業調査)も頭打ちとなっています。
過度なインフレ懸念が収まっても、景気不安の高まりで株高とならず?
3月のCPIの結果が市場予想を下回り、FRBの早期利上げ打ち止め期待が維持されたにも関わらず、その日の米国株式市場は下落しました。その背景の1つとしては、CPI後に公表された3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨において、「金融不安の影響を勘案し、2023年後半から緩やかな景気後退が始まる」というFRB事務方の経済予測が示されていたことがあります。昨年は米国のインフレと利上げの動向に投資家の注目が集まりましたが、今年は景気指標や企業業績の方がより重視されるでしょう。