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金融不安の影響を踏まえた利上げ見通しと投資戦略は?

金融不安の増大も金融危機には至らず?

米国のシリコンバレーバンクやシグネチャー・バンクの経営破綻後、欧米の金融システム不安に対する懸念が高まっています。しかし、①実際に破綻したり破綻が警戒されている銀行が抱える問題は個別・特殊な事例であるとの捉え方が多いほか、②米欧金融当局などの迅速な対応が評価されていることもあり、現時点では深刻な金融危機に至るとの見方は限定的です。

但し、景気後退のリスクは高まった?

仮に深刻な金融危機が起きずとも、今回の金融不安が景気悪化に繋がるリスクには注意が必要です。先週イエレン米財務長官は「銀行がストレスにさらされている場合、流動性と資本の強化を重視する銀行の貸し渋りが起きる可能性がある」と発言しています。なお、この米国の金融機関の貸出態度に関しては、銀行破綻前から厳格化傾向にありました(→注:以前から当レポートで紹介している【左図青色】の直近データは、今年1月時点で43.8まで悪化)。今後は「更なる貸出態度の厳格化→企業などの投資や雇用の抑制→景気と企業業績の悪化→企業などの信用リスク悪化→もう一段の貸出態度の厳格化・・・」といった悪循環が起きないかを注視する必要があるでしょう。

金融政策の見通しは?

更なる銀行破綻などがない限り、米連邦準備理事会(FRB)は今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを実施する可能性があります。但し、今後の景気悪化リスク上昇やそれに伴うインフレ圧力の緩和観測を踏まえれば、年前半に利上げが終わるかもしれません(→詳細は【補足】参照)。

【補足】今後の景気やFRBの金融政策の見通しを踏まえた有望資産は?

  • 昨年来の急速な金融引き締めの悪影響が金融不安の高まりというかたちで見え始め、今後は景気悪化リスクも警戒される場合、FRBは5月FOMCなどの年前半で利上げを止める可能性があるとみられています。
  • 今後の景気悪化リスク(→景気敏感株式などの下落圧力)や近づく利上げの終了(→金利上昇圧力の低下)といった材料を踏まえると、中期的に見た場合、信用力が高い債券や景気に左右されにくいディフェンシブセクター株式などへの分散投資が有望と考えます。なお、これらの資産は前回のレポートで紹介した「過去の景気後退が近づく局面で底堅く推移していた資産」の一部でもあります。

 

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