経済の「無着陸期待」が「強行着陸リスク」を高める?
年初来の米国や世界の株価動向は?
2月初旬まで大きく上昇し、その後は上値が重くなっています。背景には、米国及び世界経済の見通しを巡って、急速に景気が悪化するハードランディング(強行着陸)、相対的に痛みが小さいものの景気減速を伴うソフトランディング(軟着陸)、目立った減速もないノーランディング(無着陸)のどれになるかの見方の変化があります。
2月初旬までの株高の背景は?
下記3点などの材料によって、経済の「軟着陸」に止まらず「無着陸」への期待が高まったことが株高基調に繋がりました。①米国で労働市場の悪化を伴わずにインフレが落ち着く中で利上げが終了し、景気悪化も回避できるとの見方が出た。②中国の経済再開や当局の経済対策が同国及び世界の景気を支えるとの期待が強まった。③欧州での暖冬が天然ガス価格の下落をもたらし、高インフレや景気後退の懸念低下に繋がった。
足元で株価の上値が重い背景は?
冷静に考えると、経済・市場の見通し改善が再びインフレ圧力の高まりをもたらし、ひいては更なる金融引締めの積極化・長期化による「強行着陸」のリスク上昇に繋がるとの懸念が出始めた頃に、①予想を上回る米国の景気・物価指標が発表され、②米欧中銀高官からのタカ派的な発言が続いたため、金利上昇&株安の場面が増えました。
当面の見通しは?
年初来の米国や世界の株価は、予想利益が低下する中、予想株価収益率(PER)主導で上昇しました。今後も強い景気・物価指標の発表が続けば、更なる金利上昇と予想PERの巻き戻しによる株安リスクがあるため要注意です。