株式の割高・割安は、短期はともかく長期で重要。

昨年は、米国の金利上昇が予想株価収益率(PER)低下主導の株安をもたらしました。この米国株式のバリュエーション低下は、短期目線で投資をする投資家にとってはあまり重要でないかもしれませんが、長期投資家にとっては歓迎すべき材料でしょう。

図は、米国株式のバリュエーションとリターンの関係を見ています。【左】も【右】も、横軸は過去の各時点のS&P 500の予想PER(予想利益は12ヵ月先)を示しています。一方縦軸は、【左】は各時点から1年間S&P 500に投資した場合のトータルリターン、【右】は各時点から10年間S&P 500に投資した場合のトータルリターン(年率換算)を示しています。

以上を踏まえた上でバリュエーションとその後のリターンの関係を見てみると、①【左】の予想PERと1年間のリターンでは目立った相関性が見られませんでした。しかし、②【右】の10年間の年率換算リターンの場合は、予想PERが高く割高感が強いときに投資をした場合は相対的にリターンが低く、反対に予想PERが低く割安感があるときに投資をした場合は相対的にリターンが良好だったことがわかります。

「上記①と②の過去のデータ」と「2021年末の20倍超の予想PERが2022年末にかけて低下したという事実」は、今後の長期投資を考える上での好材料と言えるでしょう。尤も、年初来は予想利益が低下する中で株高が進んだことで、予想PERが18倍程度まで再上昇しているため、今後更に割高感が強まらないかは要注視です。

 

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