さらに深堀!「アメリカの星」

米国の「相互関税」発表による影響

市場動向~米国株式市場は関税や景気の影響を受けやすい業種・銘柄を中心に下落、米国国債の債券価格は上昇

  • 2025年4月3日の米国株式市場では、ハイテク株式比率が高いナスダック総合株価指数が前日比で約6.0%下落し、新型コロナウイルスの感染拡大初期の2020年3月以来、5年ぶりの下落率となりました。また、S&P 500種株価指数(以下S&P 500)は約4.8%下落しました。これを受けて、S&P 500は2025年2月19日に記録した最高値から約12.2% 下落しています。
  • 4月3日の米国株式市場では、幅広い業種の銘柄が下落しましたが、その中でも特に関税や景気の影響を受けやすい業種・銘柄が大きく下落しました。例えば、一部製品の生産を中国に依存している米アップルは株価が約9.3%安となり、米国の超大型テクノロジー企業の中でも下落率が相対的に大きくなりました。ベトナムに主要な生産拠点を持つ米ナイキの株価は約14.4%下がり、景気の影響を受けやすい一部の運輸関連銘柄も相対的に大きく下落しました。
  • 一方、安全資産とされる米国国債には資金流入が見られ、4月3日に米国10年国債利回りは前日比で約0.1%低い4.03%に低下(債券価格は上昇)しました。一時は昨年10月以降で初めて4%を下回りました。また、金融市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が高まっており、日本時間の4月4日午前時点では年内に4回弱の利下げ(1回あたり0.25%換算)が実施されることが見込まれています。
  • 米ドル円については、日米金利差の縮小および安全資産として日本円が選好されたことなどを背景に米ドル売り・円買いが進み、一時は145.19円と、2024年10月上旬以来、6ヵ月ぶりの円高・ドル安水準を付けました。

米国株式相場の下落の背景~ 発表された相互関税は市場の想定以上に厳しい内容

  • 2025年4月2日に、トランプ米大統領は相互関税の詳細を発表しました。具体的には、原則すべての国・地域に課す10%の「基本税率」を4月5日に発動(既に25%の関税を発動しているメキシコとカナダは除く)し、対米貿易黒字の大きい約60ヵ国・地域に対して、個別に税率が異なる「上乗せ税率」を4月9日に発動することを明らかにしました。また、4月3日より自動車の輸入に対する25%の追加関税が発動されました。これらの関税引き上げにより、米国の平均実効関税率は約25%に達すると推計しています。仮に平均実効関税率がこの水準に達した場合は、過去100年余りで最高の水準となります。
  • 銅、医薬品、半導体、木材など一部の品目は今回の相互関税の適用を免除されたものの、トランプ米大統領が以前に示唆した通り、将来的にはこれらの品目についても追加関税が課される可能性があります。
  • 上記の発表を受けて、中国や欧州連合(EU)など一部の国・地域は報復措置をとる姿勢を示しました。
  • 総じて、発表された相互関税の内容は市場の想定以上に厳しいものでした。これらの関税引き上げの発表により、景気悪化と物価高が同時に進む「スタグフレーション」懸念が高まっています。また、各国・地域から今後報復措置がとられる可能性もあり、貿易摩擦が悪化するリスクが意識されています。これらを背景に投資家のリスク回避姿勢が強まり、上記の市場動向に記載した通り、米国株式市場は下落し、米国国債の債券価格は上昇しました。
  • 今後については、各国・地域と米国の交渉がどのように進むかが注目されています。トランプ米大統領は現時点では必要に応じて各国・地域と交渉する姿勢を示しています。今後の交渉の進展次第では関税率が引き下げられる可能性もあり、仮に関税を巡る状況が改善すれば、足元で生じている「スタグフレーション」懸念の緩和につながると考えられます。

「アメリカの星」の運用状況と今後の投資方針

過去数か月において、情報技術セクターの比率を引き下げ、一方で金融や消費関連セクターの比率を引き上げ

組入銘柄数を増加させ、より幅広い投資機会を追求

市場の想定以上に高い成長が期待できる銘柄を発掘、個別銘柄の分析の積み上げによる運用を継続

  • 当ファンドは、市場の期待値と運用チームが考えるファンダメンタルズの乖離に着目し、幅広い分野において銘柄を発掘しています。当社グループ米国株式運用部門の見通しとして、米国企業における2025年の利益成長率は約11.1%の伸びを予想しています。今年はマグニフィセントセブン*の利益成長率が前年対比で鈍化し、一方でマグニフィセントセブン以外の企業の利益成長率が上昇すると見込んでいます。
  • 当ファンドにおいては、市場の期待値に過熱感が見られた銘柄についてポートフォリオにおける比率を慎重に調整してきており、過去数か月において、情報技術セクターの比率を引き下げ、一方で金融や消費関連セクターの比率を引き上げてきました。また、組入銘柄数を増加させ幅広い投資機会を追求しています。
  • 足元の環境について、市場では米国の関税政策に関して全般的に悲観的な反応が見られています。当社においては、関税政策が企業利益に与える影響について個別に分析し、当社が考えるファンダメンタルズ以上に悲観的な値動きをする銘柄が出てくる場合には、中長期的な時間軸において投資機会が生まれる可能性があると見ています。
  • 当ファンドの運用方針として、今後も幅広いセクターにおいて、個別企業のファンダメンタルズ分析に基づき、市場が想定する以上に成長する可能性を持つ銘柄を発掘していきます。市場ではマクロや政治動向が意識される局面が継続する可能性がありますが、当ファンドにおいては個別銘柄の分析の積み上げによりポートフォリオを構築・運用しています。
* アップル、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラの7社を示す。
2025年4月4日現在 出所:J.P.モルガン・アセット・マネジメント、ブルームバーグ
業種についてはGICS分類に基づき分類していますが、当社グループの判断に基づき分類したものが一部含まれる場合があります。上記は個別銘柄の推奨を目的として示したものではありません。また、市場動向のご説明をする目的でS&P500指数構成銘柄の中で大きく下落した銘柄の例として、投資銘柄以外の銘柄を記載している場合があります。当該銘柄の株価の上昇およびファンドへの組入れを保証するものではありません。
米国企業の利益成長率は、J.P.モルガン・アセット・マネジメントの米国株式運用部門による2025年の予想値(S&P500指数構成企業を対象、2025年3月末現在)です。
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