2023/11/24
金利低下の兆し、どうなるベスト・インカム!?
10月の市場環境は米国金利が高止まり、中東で地政学リスクが高まったことから、ベスト・インカムの基準価額は年1回決算型、毎月決算型ともに2.8%下落しました(図①)。
10月の主要な投資行動としては、2014年9月の設定以来、おおよそ3%から7%の間で保有し続けてきたリート(不動産投資信託)をすべて売却しました(図②)。売却の理由は二つあります。一つ目は利回りの相対的な魅力度の低下です。リート部分の利回りは9月末現在で4%程度でした。金利上昇に伴い、他の組み入れ資産の利回りも上昇したため、インカム収益の源泉としてのリートの魅力度が低下しました。また、不動産セクターの見通しの変化により、リスク管理の観点から売却をしました。今回のようにベスト・インカムは市場環境を見据えながら、「お任せ運用」として運用のプロが機動的に資産配分を行っています。
11月1日に米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月に引き続き政策金利の据え置きを決定しました。背景としては、ここ数カ月の長期金利の上昇で金融状況が顕著に引き締まったこと、インフレも低下傾向にあることなどがあげられます。これを受けて、米国10年国債利回り1は10月末現在の4.9%から、米連邦公開市場委員会(FOMC)直後の11月3日までに4.6%へと短期間で大幅に低下、その後も低下傾向になりました。この結果、執筆現在の11月16日時点の基準価額は年1回決算型、毎月決算型ともに月初来3.9%の上昇を記録し、10月の下落分を取り戻しました。
ベスト・インカムはインカム収益を重視したバランス型ファンドです。「屋台骨」として34%程度組み入れている米国のハイ・イールド債券をはじめとして、債券に約5割投資しています(図②)。また、ベスト・インカムの平均利回りは10月末現在、設定来最高水準の6.5%となっています(図③)。債券には、金利が上昇すると価格が下がり、金利が低下すると価格が上昇するという特徴があります。現在の金利低下局面では、相対的に利回りの高いポートフォリオは良好なパフォーマンスをもたらすことが期待されます。
過去を振り返っても、ベスト・インカムは景気後退期を除く金利低下局面では、基準価額の上昇を記録しました。過去5年間では2つの金利低下局面2を経験しています。例えば、2018年10月末から2019年8月末では米国10年国債利回りは1.7%下がり、ベスト・インカム3の基準価額は5.4%上昇しました。ベスト・インカムの運用成果は必ずしも金利の上下だけに左右されるものではありませんが、金利低下の恩恵を大きく受けてきたことがわかります。
今後、FRB の利下げ観測が強まれば、現在のポートフォリオはより追い風を受ける状況になることが期待されます。ベスト・インカムは金利環境の変化を捉えて、より魅力的な利回りの資産に投資するファンドです。世界中の様々なインカムを生む資産に分散投資し、運用をおこなってまいりますので、ベスト・インカムの今後の動向=どうなる?にご注目頂ければ幸いです。
1 出所:ブルームバーグ
2 リターンの計測には月次ベースの騰落率を使用
3 毎月決算型の騰落率。年1回決算型の騰落率は同期間で5.4%の上昇
画像は本コラム執筆時のJPMベスト・インカム(年1回決算型/毎月決算型)の月報より抜粋したものです。最新の月報は こちら
「JPMベスト・インカム(年1回決算型)/(毎月決算型)」を総称して「JPMベスト・インカム」または「ベスト・インカム」と言います。投資先ファンドとは「JPモルガン・インベストメント・ファンズ-グローバル・インカム・ファンド」の「Iクラス(円建て、円ヘッジ)」(「グローバルインカムファンド」と言います。)を指します。「ベスト・インカムの投資先ファンドの運用戦略」を「ベスト・インカムの運用戦略」と呼ぶ場合があります。ベスト・インカムは投資先ファンドを通じて実質的な運用を行います。インカム収益とはファンドが実質的に受領する債券の利息(クーポン)、株式の配当およびリートの分配金を主とする収入をいいます。上記の運用に関する説明は、利回りのデータも含め投資先ファンドにおけるものです。ただし、ファンドの騰落率に関しては、ベスト・インカムの騰落率(税引前分配金再投資)のデータです。当ファンドの投資先ファンドのポートフォリオを「ベスト・インカムのポートフォリオ」と呼ぶ場合があります。本コラムではグローバル経済や市場の出来事を説明する目的で個別企業に言及することがありますが、その企業の発行する有価証券の売買を推奨するものではありません。上記の意見・見通しは表記時点あるいは掲載時点でのJ.P.モルガン・アセット・マネジメントの判断を反映したものであり、今後変更されることがあります。