2023/03/23
金融システム不安の影響は?
2月のリターン
2023年2月の騰落率は年1回決算型、毎月決算型ともにマイナス2%でした(図①)。1月の市場とは反対に、月報4ページ「市場概況」の<代表的な市場の月間騰落率>で記載している資産のすべてが下落に転じ(図④)、基準価額下落の要因となりました。
金融システム不安の影響は?
その後3月前半までは基準価額は下げ止まっていましたが、米国の地方銀行であるシリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻から、欧州クレディ・スイスの経営不安へと連鎖的に広がったことで、金融市場に動揺が走りました。本コラム執筆時点で、ベスト・インカムの基準価額も下落傾向に転じています。
金融セクターの組み入れを確認しましょう。3ページ左上の業種別構成比率で、株式資産の中では22.3%と最も多い組み入れとなっていることがわかります 1(図③)。ポートフォリオへの影響を考えるにあたり、まず重要な点は、この一連の動きが個別の金融機関の問題なのか、それとも世界的な信用不安につながるものなのかを考察することでした。結論から言うと、運用チームでは、連鎖的に多くの銀行に影響を及ぼし、世界的な信用不安につながる可能性は低い、と見ています。SVBの問題は同行独自のビジネスモデルなどに起因するものと考えられます。また、クレディ・スイスの経営不安については、かねてより経営再建中であったこともあり、スイス中央銀行が素早く支援策を発表し、最終的にはUBSに買収されることが決まり、早々に決着しました。
年初からの金融市場の関心事の一つは「景気減速」か「景気後退」か、という点でした。そのため、運用チームでは、世界全体の景気動向を慎重に見ながら、世界各国・地域それぞれの景気サイクルを見極めて資産配分の調整や銘柄選択を行ってきました。今回の米欧の銀行セクターに起こった出来事が景気後退の可能性を高めたであろうことは念頭に置いておくべきでしょう。しかし、ベスト・インカムのポートフォリオでは、昨年より景気減速等に備え、株式から信用格付の高い債券に資産配分を調整してきました。また、主要先進国の景気変動による影響を分散するため、先行して業績修正等が進んできた新興国資産の組み入れ比率も慎重ながら増やしています。ベスト・インカムの世界全体にわたる計16資産の運用プロフェッショナルと緊密に連携しながら、引き続き堅固なポートフォリオ運営を行っていきます。