「資産運用業宣言2020」と当社の取り組み
2020年11月16日、投資信託協会と日本投資顧問業協会との共催により開催された資産運用業フォーラムにおいて「資産運用業宣言2020」が採択されました。
当社はこの宣言に賛同するとともに、その実現に向けた具体的な取り組み状況を公表することといたしました。
社会的使命
資産運用会社の使命は、皆さまの安定的な資産形成に向けて最善を尽くすと共に、そのための投資活動を通じて社会課題の解決を図り、皆さまの豊かな暮らしと持続可能な社会の実現に貢献することです。 |
投資家の皆さまからお預かりした大切な資金をプロとしての知見を活かして運用を行い、投資を通じて投資先企業の持続的な成長を促し、その果実としてのリターンが投資家の皆さまのもとに帰っていく。こうした好循環を生み出すことがアクティブ・マネジャーとして提供できる価値であり、運用会社としての社会的な使命であると考えています。
1. 運用力の向上
世界主要拠点に1,000名以上の運用プロフェッショナルを配し、様々な国・地域、専門分野を網羅した運用体制
調査レポートや運用ツールを、資産クラス横断的、かつ、地域横断的に共有することでグローバルな知見を蓄積、産業構造や競争環境などの変化をいち早く、かつ高い精度で分析し、長期の企業業績予想に反映
運用者の専門的な知見に加え、データの積極的な活用を推進。ポートフォリオ最適化のための定量分析ツール、また業績予想やバリュエーションに加えて自然言語処理を活用した銘柄分析ツール等を通じてアナリスト予想を更に精緻化
AIを活用したアルゴリズムの最適化や市場インパクトも含めた売買コストの削減による最良執行
2. 長期のトラックレコード
短期的なブームに拠ることなく、あくまで長期的な資産形成に資するという観点で長く保有いただけるような運用商品を提供
幾つもの経済サイクルを乗り越えた長いトラックレコードを持つ当社の代表的なファンドは、1991年設定のJPMアジア・成長株・ファンド、1999年設定のJPMザ・ジャパン、2001年設定のJPMワールド・CB・オープンなど
運用者の評価に際しては、過去10年までの長期運用実績をスコア化した定量評価をもっとも重視
目指すべき姿
≪専門性と創造性の追求≫ 最良の運用成果と付加価値の高いサービスを提供するために、皆さまから大切な資産の運用を託されていることを役職員ひとり一人がしっかりと自覚し、その責任と誇りを持ち、常に高い専門性と多様な創造性を追求します。 |
資産運用業のプロフェッショナルとして常に専門性を磨き、再現性の高い運用を継続的におこなっていくためのインフラを構築し進化させるためには、継続的な人材育成、専門人材の獲得、それぞれの能力を発揮できる環境が不可欠です。
1. 継続的な人材育成
プロフェッショナルとしての専門性を向上させるため、日々の市場動向はもとより、中長期的な市場動向への洞察や各種運用手法等についての情報共有や研修をグローバル規模で実施
CFA等の資格取得の奨励、費用補助
データリテラシー向上のため、プログラミング言語のPythonや自動化ツールのAlteryxを習得するためのプログラムを提供
業務にかかわる専門スキルのみならず、マネージャー職にあたる社員には、それぞれのレベルに合ったマネージャー研修プログラムを受講
2. 専門人材の獲得
継続的な人材育成に加え、専門性の高い人材の外部からの登用も積極的に実施
社長も含め経営幹部に関しても、相応しいスキルと経験を持った人材を登用するために、社内やグループ内からの異動ではなく、外部候補者も含め、常に複数の候補者を立てたうえで選定
3. 多様な人材の活躍
多様な人材が活躍する一例:
日本株の運用に携わる担当者27名のうち、メンバーの出身国は7か国、年齢も20代〜50代と、バラエティに富んだチーム構成大手業界専門紙によるジェンダーに関する調査で高い評価を取得*
グローバルの運用会社において、
- 女性のファンド・マネジャーの平均在職年数が長いNo.1
- 業界における女性のファンド・マネジャーの割合の高さNo.2日本の全従業員における女性の割合は約53%、役職者(アソシエイト以上)に占める女性比率は49%、管理職(ヴァイス・プレジデント以上)に占める女性比率は40%。ただし、上級管理職(エグゼクティブ・ディレクター以上)に占める女性の割合は22%**に留まっており、今後の課題と認識。今後も、ジェンダー、年代、国籍にとらわれず、それぞれの専門分野において最も適切と考える人材の登用を推進
女性社員のキャリア形成を目的としたイニシアティブWomen on the Move(WOTM)に加えて、LGBTQへの理解を促進するPride、障がい者の職場環境向上のためのAccess Ability等、有志社員で構成するグループで様々な企画を実施
≪顧客利益の最優先≫ 皆さまの資産の⻑期的利益を最優先することは、運⽤を託される我々資産運⽤業の拠って立つところであり、その徹底のために様々な取り組みを常に追い求め、皆さまからのご期待にお応えします。 |
当社はJPモルガン・チェース・グループの持ち株会社のもと、銀行部門や証券部門とは経営上、業務上また人事上も独立した運用会社として運営されています。そしてお客さまの利益を第一に考える受託者責任(フィデューシャリー・デューティー)は運用会社の根幹をなす理念として全社員で共有されています。しかし、それを日々意識し、日常業務に落とし込んでいくためには、単なる概念としてではなく、それを実践していくための具体的な意識付けが不可欠だと考えています。
1. 行動規範ケーススタディー
日常業務における誠実で正しい判断や行動を常に意識するため、実際の業務のなかで起きうるケースを題材としたトレーニングを実施。顧客情報の適切な管理、問題発生時の対処、プレッシャーのかかる状況での判断、上司または適切な部門への報告や相談、など、行動規範を具体的に意識したチームディスカッション
2. ラウンドテーブル・ディスカッション
顧客本位の業務運営の原則に照らして自身の業務を改めて見直し、実務を通じて実践できていることのみならず今後の課題として更に意識すべきこと等についてラウンドテーブルの形式でディスカッション。フィデューシャリー・デューティーを立体的かつ多面的に捉えるため、ラウンドテーブルのメンバーは多様な部署、職種から構成
≪責任ある投資活動≫ 専門的な調査活動や投資先の企業などとの積極的な対話といった責任ある投資活動を通じ、運用資産の価値向上を図り、豊かで持続可能な社会の実現に貢献します。 |
当社では、アクティブ運用の知見に基づいた投資先企業との積極的な対話(スチュワードシップ)とサステナブル・インベスティングの両輪でESGの取り組みを促進しています。
1. スチュワードシップ
ポートフォリオ・マネジャー、アナリストなどの運用担当者に加え、スチュワードシップ専門の担当者を配し、運用機関の立場から企業に対し持続可能な経営改善のための積極的な意見の表明及び議決権を行使
2020年の実績として、ESGに特化したミーティングを年間約500回開催、世界の80の株式市場で約8,000に及ぶ株主総会にて議決権を行使
各運用拠点に議決権行使委員会を設け、議決権行使ガイドラインの策定や議決権行使判断の透明性を担保
投資一任契約又は投資信託契約に基づいて運用している日本株式における全ての行使結果及び行使判断理由を個別に開示
国連による「責任投資原則」に2007年に署名済み、その運用会社評価においては、戦略、ガバナンスにおいて最高位のA+の評価を獲得
投資先企業とのエンゲージメントの焦点を明確にするために、5つの優先事項を設定
- ガバナンス
- 長期目標と戦略の整合性
- 人的資本の管理
- ステークホルダーとのエンゲージメント
- 気候変動リスク
2. サステナブル・インベスティング
アクティブ・マネジャーとして長年培ってきたファンダメンタルズおよびクオンツのリサーチを基盤としたESGインテグレーションを戦略的に実施
運用プロセスにおいてESGインテグレーションの達成度合いを評価するモニタリング体制を導入、運用チームのESGインテグレーションの状況を可視化
2020年末現在で、約2兆2400億ドル、全運用資産の97%においてESGインテグレーションが完了
調査対象企業に対する独自のESGスコア(格付けシステム)を開発。従来から行われているセクターごとの専門家による調査に加え、機械学習のアルゴリズムや自然言語処理などのデータサイエンス機能を活用して、企業開示情報からさらに踏み込んだESGに関する推測データを収集
≪信認の獲得≫ 運用哲学をはじめ自らの強みを明らかにし、切磋琢磨しながら、運用力や提供する商品・サービスの更なる向上を図ることで、今まで以上に皆さまにご信認いただき、より多くの資産の運用を託されることを目指します。 |
信認を獲得するためには、長期的に再現性の高い運用パフォーマンスは勿論のこと、金融機関の資産運用に携わる皆さまや投資家の皆さまへの積極的かつ分かり易い情報提供が不可欠と考えています。また、日本の投資家の金融リテラシーを底上げするための啓蒙活動や、ポートフォリオ提案の推進も、運用会社が果たすべき重要な責務と考えています。
1. 積極的かつ分かり易い情報提供
ストラテジストが各種メディアにて積極的に情報発信
金融機関の資産運用に携わる方および機関投資家向けにZoomなどのオンラインツールを活用したWebセミナーを多数開催。当社グローバルのネットワークを駆使して、世界中の運用のプロによる知見を共有。日本にいながらも、海外の最新情報をタイムリーに提供できる体制を構築
2. グローバルな知見を共有
10~15年スパンの長期にわたる金融市場の予測レポートLTCMA(Long-Term Capital Market Assumptions)を毎年発表。当社のグローバルな取り組みとして、これまでに25回実施。中長期視点の資産運用を普及させるため、ポートフォリオ提案に携わる全ての方々に活用いただけることを目指す
世界の経済環境や市場動向を包括的に解説する投資啓蒙プログラム「Market Insights」を展開。金融機関の資産運用に携わる皆さまに向けて、四半期ごとの定期セミナー、レポート配信などを実施。同プログラムは当社ホームページでも投資家向けに公開
お客さまにより一層信頼いただける運用会社として、運用力とサービスの向上を目指し、「資産運用業宣言2020」の実現に努めてまいります。