株式投資はこれからも資産運用のコアとなる要素だと考えられます。インカムを重視しながら、ある程度のキャピタルを追求するトータルリターンのアプローチを検討しましょう。
政策に関する不確実性
2025年は年初より、アメリカの相互関税に関して状況が頻繁に変わることや、政治的な駆け引き、アメリカの景気減速懸念、物価上昇懸念などにより、投資家はより慎重な態度をとるようになっています。
年末にかけて市場は変動性(ボラティリティ)の高い状況が続くと予想されますが、一方で、株式はポートフォリオを構築する際に資産配分の基本的な構成要素であり続けるべきだと考えています。重要なのは、トータルリターン・アプローチを採用することで、株式市場の上昇メリットを追求しながら、同時にインカムの獲得を狙うことだと考えます。
インカムに注目して株式投資を継続する
JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF(JEPI)およびJPモルガン・ナスダック米国株式・プレミアム・インカムETF(JEPQ)は、インカムの獲得と資産の長期的な成長を目指します1。ポートフォリオは主に以下の2つの要素で構成されます:
- JEPIはアメリカ株式市場全体を投資対象として、独自の調査プロセスによって投資銘柄を選別します。JEPQはナスダック銘柄を中心にアメリカの成長株で構成される分散ポートフォリオを構築します。
- コール・オプションを売却することにより追加的なインカムの獲得を目指します。オプション・プレミアム2を原資に毎月インカムの分配を目指します。
この投資戦略は、株式とオプションの組み合わせによって、インカムとキャピタル・ゲイン(値上がり益)、リスクのバランスを取っていくことを目指しています。オプション取引(コール・オプションの売却)を通じて、追加のインカムを獲得する一方で、株価上昇時にその上昇メリットの一部を放棄する可能性があります。債券投資に伴う金利リスクを通常取ることはありません。
不確実な市場環境における投資を考える
株式投資は市場が上昇基調の時にその本領を発揮しますが、株式市場の方向性が定まらない、不確実な投資環境においても以下のような投資機会が存在します:
- 下落相場:ボラティリティの上昇は、一般的にオプション売却時に得られるプレミアムの上昇をもたらします。得られたオプション・プレミアムは、株式ポートフォリオのキャピタル・ロス(損失)の一部または全部を相殺し、下方リスクを低減する効果が期待されます。
- レンジ相場:株式から得られる配当金とオプションの売却から得られるプレミアムがトータルリターンにプラスに寄与し続けると考えられます。
結論
ボラティリティの高い市場環境において、分散された株式ポートフォリオにインカムの要素を含めることは、ポートフォリオ全体の耐性を高め、より強固なポートフォリオを構築する際に役立ちます。
また、長い投資期間でリターンを達成しようとする投資家にとって、投資を始めるタイミングよりも、どれだけ長期間投資し続けるかが重要であるという考えを忘れないようにしていただきたいです。私たちは、投資家が市場のボラティリティとうまく付き合っていく上でトータルリターンの視点を持つことが重要だと考えています。株式を常にポートフォリオに組み入れながら、トータルリターンを追求することが長期投資の成功の鍵かもしれません。