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Guide to the Marketsで解説!2025年と2026年の米国株式の見通し 最高値圏の米国株式に投資しても大丈夫?

<要旨>

最高値圏の米国株式に投資しても大丈夫?

・過去の歴史に学ぶと、史上最高値時に米国株式へ投資を始めた場合のリターンは堅調でした。

・トランプ米政権の政策を巡る不確実性が残っているにも関わらず、米国外投資家による「米国株式からの逃避」は依然として見られていません。今後は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げにより、残高が約1,000兆円に達している米国MMF1の一部が米国株式に流入する可能性もあると見ています。

一部でバブルの可能性が指摘されるような状況下で、米国株式に投資しても大丈夫?

・過去の歴史は、米国株式のバリュエーションが高くても企業業績見通しが堅調ならば株高が続く可能性を示唆しています。その肝心の企業業績見通しは拡大基調が続いています。

米国株式の上昇はマグニフィセント72頼みの「一本足打法」で危うい?

・相場を支えるマグニフィセント7のファンダメンタルズは引き続き力強く、過度な割高感も現時点ではありません。

1 MMF(マネー・マーケット・ファンド)とは、高い格付けの短期金融商品によって運用される投資信託のこと。

2 アップル、アマゾン、アルファベット、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラの7社を示す。上記は個別銘柄の推奨を目的として示したものではない。弊社若しくは弊社グループ会社又はそれらの従業員は上記で言及している有価証券を保有している場合がある。

<本文>

最高値圏の米国株式に投資しても大丈夫?

足元では、トランプ政権の不透明な政策や米関税によるインフレ懸念、米国の労働市場の軟化などの不安材料がある中でも、S&P 500は史上最高値圏で推移しています。このような状況においては、「FOGI(Fear Of Getting In=参入する恐怖)」を感じる投資家も多いでしょう。たしかに、史上最高値を更新するタイミングで高値掴みのリスクを警戒したくなる気持ちはよく分かりますが、過去のデータを見る限り、過度な懸念は不要かもしれません。

実際に、過去のデータを確認してみましょう。下記の図表の【左】は、S&P 500の投資期間別の平均トータルリターン(配当を含む)を示しています。【緑色】の「最高値を更新した各時点でS&P 500に投資した場合」と【灰色】の「最高値更新かどうかに関わらずS&P 500に投資した場合」の過去の平均リターンを見比べると、①3ヵ月や6ヵ月の平均リターンはほぼ同等で、②1年~5年の長期で見れば、むしろ史上最高値更新時に投資をしたほうが平均リターンは高かったことが分かります。

【右上】は、米国外投資家による米国株式の売買状況について示しています。

今年は「米国1強の終わり」が謳われる場面が増えたこともあり、米国外の投資家が米国株式への投資を巻き戻したり控えたりしているというイメージを持っている人がいるかもしれません。しかし、米国財務省のデータを見ると、米国外投資家による米国株式への積極的な投資姿勢は変わっていないことが確認できます。ただし、米ドル安に対する警戒感は強く、最近は米国外の投資家が為替ヘッジをかけたうえで米国資産に投資をする傾向が強まっているようです。

【右下】は、米国MMFの残高とスプレッド(MMFの利回り-S&P 500の益回り)を示しています。

今後の米国株式への資金流出入を考えるにあたっては、約1,000兆円もの残高がある米MMFの動向にも注目したいところです。過去数年間のMMFの投資妙味と残高を見ると、FRBの急速利上げ期にMMFの利回りがS&P 500の益回りと同程度まで上昇したこともあり、資金流入が続いてきたことが分かります。しかし今後は、FRBの利下げでMMFの利回りが低下し、MMFの期待リターンが低下することで、大量に積み上がった待機資金の一部が米国株式などのリスク性資産に向かう可能性が指摘されています。

Guide to the Markets 2025年10-12月期版で解説『米国株式:高値圏での株式投資と米国株式への資金流入』

一部でバブルの可能性が指摘されるような状況下で、米国株式に投資しても大丈夫?

下記の図表の【右】は、「S&P 500の予想株価収益率(PER)が20倍以上の時点」から6ヵ月後の平均リターンを示しています。

米国株式への投資を検討するにあたり、「史上最高値圏での高値掴み不安」と並んで警戒されているのが、「割高感(=高バリュエーション)」でしょう。しかし、足元のように予想PERが20倍を超えていた時点でS&P 500に投資した場合の6ヵ月後のリターンの平均値を見ると、①6ヵ月後に予想EPSが下落したケースでは約-8%と急落していた一方、②同期間で予想EPSが上昇したケースでは約+6%と大きく上昇していたことが分かります。このような過去のデータを踏まえると、「予想PERが高い=近いうちに株価が下落する」という見方はあまり説得力がなく、「今後も予想EPSがしっかり上昇するのであれば、現在の予想PERが高くても更なる株高が期待できる」と言えるかもしれません。

【左】は、S&P 500の予想EPSの推移を示しています。

上記で確認した通り、今後の株価動向のカギを握るのは予想EPSと言えるでしょう。【赤色】で示しているS&P 500の12ヵ月先予想EPSの今後の動向を考えるにあたっては、足元から来年前半にかけて同指標に大きな影響を与える【紫色】の2026年の予想EPSに注目したいところです。そこで過去数ヵ月間の2026年の予想EPSの推移を見ると、関税の不透明感後退やFRBの利下げ、来年の米中間選挙に向けたトランプ政権の経済政策への期待などを反映してか、上方修正が続いていることが分かります。今後もこの調子で同指標が堅調に推移するのであれば、上記の過去の経験則も踏まえると、「高バリュエーションでも株高」という状況が続く可能性があります。

Guide to the Markets 2025年10-12月期版で解説『米国株式:企業業績見通しとバリュエーションとリターンの関係』

米国株式の上昇はマグニフィセント7頼みの「一本足打法」で危うい?

下記の図表の【左上】は、米国株式の予想EPSの伸び(前年比)を示しています。

足元の米国株式の上昇はマグニフィセント7頼みの「1本足打法」で危ういのではないかとの見方も一部ではあります。ただし、米国株式市場を支えるマグニフィセント7のファンダメンタルズは引き続き力強いものとなっています。これまでのマグニフィセント7の大幅株高の原動力は強力な利益成長ですが、【黄緑色】の棒グラフで示している通り、マグニフィセント7の予想EPS成長率は2026年も16%としっかりした2桁増益が予想されている点は安心材料でしょう。

なお、このような好調な企業業績の背景には、言うまでもなくAIという構造的なテーマがありますが、この勢いは「ディープシーク・ショック3」などを経ても衰えていません。実際に【右上】の棒グラフで示した「主要なAIハイパースケーラー4による資本的支出額の予想値」を見ると、様々な懐疑的な見方を跳ね返すような上方修正が継続していることが確認できます。

また、足元のマグニフィセント7のバリュエーションが過度に高いわけではない点もおさえておきたいところです。【右下】のマグニフィセント7のバリュエーションを見ると、予想PER(均等加重指数ベース)は過去の平均値をやや上回る程度に止まっていることが分かります。

3 中国の生成AI企業であるディープシークが低コストかつ短期間で高性能の大規模言語モデルを開発したと主張したことで、先端技術領域における米国の優位性を揺るがすとの懸念が生じ、投資家のリスク回避姿勢が強まって2025年1月27日の米国株式市場が急落したことを指す。

4 AI導入に不可欠なクラウドサービスなどを提供する企業で、ここではマイクロソフト(Azure)、メタ・プラットフォームズ、アマゾン(AWS)、アルファベット(Google Cloud)の4社を指す。上記は個別銘柄の推奨を目的として示したものではない。弊社若しくは弊社グループ会社又はそれらの従業員は上記で言及している有価証券を保有している場合がある。

Guide to the Markets 2025年10-12月期版で解説『米国株式:マグニフィセント7とAI投資と企業の支払い能力』

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