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Guide to the Marketsで解説!“トランプ政策から考える投資戦略”と“業績から考える投資戦略”

<要旨>

「トランプ政策から考える投資戦略」

  • ž   トランプ米政権は(少なくとも来年の米中間選挙までは)「親ビジネス・市場重視」だと考える投資家は、米国やAI関連株式などへの投資が一案です。
  • ž   トランプ政権は本質的に「反ビジネス・市場軽視」だと警戒する投資家は、ゴールドや円、米国国債などへの投資が一案です。

「ファンダメンタルズ(企業業績)から考える投資戦略」

  • 短期的にみれば市場はトランプ政権の政策を巡るニュースで一喜一憂していますが、中長期的には株価はファンダメンタルズの動向に左右されます。第1次トランプ政権時も、結局はファンダメンタルズが強かった資産が好調だったという経験則があります。
  • 中長期的な視点に立ち、今後のファンダメンタルズの見通しに注目すると、これから評価される可能性があるのは、国別では米国株式や新興国株式、セクター別では情報技術セクター株式などです。なお、これらの資産は、上記の「トランプ政策から考える投資戦略」で紹介した「米政権=親ビジネス・市場重視」と考える場合の有望資産と一致しています。

Guide to the Markets 2025年7-9月期版で解説『トランプ2.0相場の物色動向:局面別の各資産のリターン』

上記図表は、トランプ2.0相場の物色動向として、2024年米大統領選挙以降の局面別の各資産のトータルリターン(利息・配当を含む)を示しています。

これまでトランプ砲に振り回されて相場が乱高下してきたことを踏まえれば、今後もトランプ政権のスタンスを考慮した上で投資戦略を考えたいという投資家は一定数いるでしょう。このような観点から投資戦略を考える上では、2024年の米大統領選挙以降の物色動向の変遷が参考になるかもしれません。具体的には、①「トランプ政権=親ビジネス・市場重視」と好感されていた期間(【灰色】の米大統領選挙直前~2025年2月19日のS&P 500の高値までの期間と【緑色】の米相互関税ショック~2025年6月30日までの期間)における物色動向と、②「トランプ政権=関税強化などに注力する反ビジネス・市場軽視」と警戒されていた期間(【赤色】の2025年2月19日のS&P 500の高値~相互関税ショックまでの期間)における物色動向を学んでおくと、その経験則が今後も続くトランプ2.0相場を上手く乗りこなすための「ガイド」として役立つかもしれません。

まず、①「トランプ政権=親ビジネス・市場重視」と好感されていた期間(【灰色】と【緑色】)のリターンをみると、国別の株式では米国株式が最も力強く、中でもマグニフィセント7のリターンが絶好調となっていました。また、スタイル別やセクター別(世界株式ベース)で見るとグロース株式、情報技術セクター、コミュニケーションセクターといったAI関連株式が堅調でした。米国・AI関連株式は、トランプ米大統領の減税や規制緩和、トップ外交(例:半導体関連の減税、AI積極推進の大統領令、中東訪問でAIビジネス獲得)などの恩恵を受けやすいと考えられます。以上の点を踏まえると、「トランプ政権は結局のところ親ビジネス・市場重視だ」と考える投資家や、「少なくとも来年の米中間選挙に向けては親ビジネス・市場重視モードだ」と見ている投資家は、これらの資産への投資比率を高めておくのが一案となるでしょう。

一方、②「トランプ政権=関税強化などに注力する反ビジネス・市場軽視」と警戒されていた期間(【赤色】)のリターンをみると、関税懸念が強かった期間に上昇している資産は少なく、ゴールドや円(対米ドル)、米国国債といった資産に限られていました。したがって、「トランプ米政権の政策は本質的には経済や市場にとってリスクがあり、油断は禁物だ」と考える投資家は、これらの安全資産のオーバーウェイトを検討したいところです。ちなみにゴールドと円(対米ドル)は、「反ビジネス・市場軽視」モードの時に限らず、「親ビジネス・市場重視」モードの時にも(相対的に小幅ながら)上昇しています。これは、トランプ2.0相場においては、リスクオンの時もリスクオフの時も米ドル安が進行していたという特徴を表しているでしょう。

Guide to the Markets 2025年7-9月期版で解説『各国・地域別と世界のセクター別の企業業績見通し』

短期的にみれば市場はトランプ政権の政策を巡るニュースで一喜一憂していますが、中長期的には株価はファンダメンタルズの動向に左右されます。第1次トランプ政権時も、結局はファンダメンタルズが強かった資産が好調だったという経験則があります。そこで、以下ではファンダメンタルズの観点から今後有望な資産を確認してみましょう。

上記図表の【左】は、国・地域別の予想1株利益(EPS)の伸び(前年比)を示しています。はじめに【緑色】の2025年の予想EPSの成長率に注目すると、米国(約9%)や新興国(約17%)が相対的に堅調な一方、日本(約5%)や欧州(約-0%)は冴えない水準です。ただし、市場参加者は常に半年先や1年先を見て動くとされています。したがって、2025年後半から2025年末にかけては、投資家の関心が徐々に2025年の予想EPSから【灰色】の2026年の予想EPSへと移っていくことになるため、2026年の予想EPSの動向にも注目する必要があります。その2026年の予想EPSの成長率を見ると、相対的に高い成長率が見込まれているのは2025年と同じく米国(約14%)と新興国(約13%)であるため、これらの国・地域がファンダメンタルズの観点から有望視される可能性があります。

米国は2026年も引き続き大型テクノロジー企業の躍進が見込まれているほか、減税効果や米連邦準備制度理事会(FRB)新議長の下でのハト派的な金融政策などへの期待も高まっていくかもしれません。一方、新興国は仮に米ドル安が進行するとそれが追い風になるでしょう。

【右】はセクター別の予想EPSの伸び(前年比)を示しており、いずれも世界株式ベースです。2025年の予想EPSの伸び率が高いセクタートップ3は情報技術セクター(約21%)→コミュニケーションセクター(約18%)→ヘルスケアセクター(約16%)で、2026年は情報技術セクター(約18%)→一般消費財セクター(約16%)→素材セクター(約15%)となっています。やはり、AIという構造的な追い風が吹いている情報技術セクターが2025年も2026年もトップになることが予想されており、引き続き有望視されるかもしれません。

以上をまとめると、今後のファンダメンタルズに着目した場合の有望な投資先は、米国や新興国株式、情報技術セクター株式などと言えるでしょう。

 

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