Guide to the Marketsで解説!「金融ショック」が起きても慌てる必要はない? 過去の波乱相場から学ぶ投資への向き合い方
<要旨>過去の波乱相場と長期投資・時間分散の重要性
過去の歴史を振り返ると、波乱相場の多くは短期で収束する傾向があります。また、仮に景気後退等で相場低迷が長期化する場合でも、長期目線で時間分散も活用しながら投資を続ければ「危機」が「安値で拾える機会」に変わる可能性があります。
Guide to the Markets 2025年4-6月期版を解説『ボラティリティと株式投資』
上記の【下表】は、1990年以降でVIX指数が35超に急騰した15回の波乱相場の米国株式のリターンをまとめたものです。VIX指数は米国金融市場のボラティリティを示す指標の一つで、株安が懸念される局面などで上昇する傾向があり、20を超えると不安心理が高まっていると解釈されます。そのため、VIX指数は「恐怖指数」と呼ばれることもあります。
このデータから分かることは主に次の2点です。
➀VIX指数が急騰した当日のS&P 500の騰落率は平均で-3.6%と大幅に下落していました。しかしその下落後は、平均でみて1ヵ月後は+0.9%、3ヵ月後は+3.6%、12ヵ月後は+13.7%と、いずれも堅調でした。つまり、過去に生じた経済・金融ショックに伴う大幅株安の多くは「良い仕込み場」になっていたことがわかります。
②このように、過去の波乱相場は短期で収束することが多いものの、「2001年のITバブル崩壊」、「2008年の世界金融危機」、「2022年のロシアのウクライナ侵攻と米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め懸念」の3回のみは、12ヵ月後でもリターンがマイナスでした。
Guide to the Markets 2025年4-6月期版を解説『長期投資と時間分散:世界金融危機後の積立投資の成果』
上記の図表では、世界金融危機後の世界株式の値動きと積立投資の成果をみており、このような極めて厳しい局面でさえも、長期目線と時間分散を活用すれば投資は恐くないことを示しています。
はじめに【左上】の図表をみると、世界金融危機前に世界株式が最高値をつけた2007年10月から投資を始めた場合、この水準を回復できたのは2013年12月で、実に6年2ヵ月もの期間を要していたことがわかります。
これは非常に厳しい結果ですが、この2007年10月という「最悪のタイミング」から毎月1万円ずつ積立投資を続けた場合は、世界株式が最高値の水準まで回復した2013年12月時点で、積立額の75万円に対し、積立投資の資産価値は1.7倍弱の126万円になっていました。
その後も更に投資を続け、2007年10月から今年の3月まで積立投資をしていた場合の投資成果をみると、積立額210万円に対し、積立投資の資産価値は約3.7倍の787万円になっています。
これらのデータを踏まえると、波乱相場の多くは短期で収束する傾向があることや、仮に景気後退等で相場低迷が長期化する場合でも、長期目線で時間分散も活用しながら投資を続ければ「危機」が「安値で拾える機会」に変わる可能性があると言えるでしょう。