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Guide to the Marketsで解説!「トランプ・プット」と「FRBプット」の発動はいつ?

<要旨>第2次トランプ政権下の経済政策と金融市場

当面はトランプ米政権による関税などの「負の政策」への警戒感が残り、短期的な株価急落に見舞われる局面が訪れる可能性もあるとみています。ただし、中長期で見れば「トランプ・プット」や「FRBプット」が発動し、市場が持ち直していくと考えます。

Guide to the Markets 2025年4-6月期版を解説『経済政策の不確実性とトランプ米大統領の支持率と景気後退確率』

上記の図表では、経済政策の不確実性とトランプ米大統領の支持率と景気後退確率についてみています。

先日掲載したレポートでは、【右上】のトランプ米大統領の支持率や【右下】の米国の景気後退確率のデータなどを踏まえると、現在トランプ米大統領が感じている支持率や景気に関する「痛み」はまだそこまで強くないと考えられるという点を記載しました。そのため、トランプ米大統領は米国の企業や消費者に悪影響をもたらす政策を「まだ」続けられる可能性があるとみています。

Guide to the Markets 2025年4-6月期版を解説『米国株式:「トランプ・プット」と「FRBプット」』

ただし、今後も経済や市場を傷つける政策が続き、支持率や景気後退懸念などがもう一段悪化すると、トランプ米大統領は政策を修正せざるを得なくなるでしょう。(→「トランプ・プット」の発動)。

【左上】は2018年9月~2019年12月までのS&P 500の推移を示しています。「トランプ・プット」と「FRBプット」については、2018年の「クリスマスショック」後の動きが参考になります。当時は、米中貿易摩擦・米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め・米政府機関の一部閉鎖等を巡る懸念を背景に景気不安が強まり、株価も急落したことで、米中貿易摩擦の懸念を和らげようとする「トランプ・プット」や、金融政策のハト派転換で更なる景気や市場の悪化を食い止めようとする「FRBプット」が発動しました。これらが原動力となり、S&P 500は「クリスマスショック」が起きた2018年12月24日の急落時を底値とし、翌年の3月末にかけて+20.6%の急回復をみせました。

【左下】は2024年11月~2025年4月9日までのS&P 500の推移を示しています。一時はメディア等で「第2次トランプ政権下ではトランプ・プットが無い」との見方が浮上していましたが、S&P 500の弱気相場入り(=直近1年間につけた高値から下落率が20%を超えること)が目前に迫った4月9日にトランプ米大統領が米相互関税の一部猶予を決めたこと等を踏まえれば、「やはりトランプ・プットはある」ということが既に明らかになっています。来年には米中間選挙があり、負けてしまうと任期後半はトランプ米大統領の思い通りにならないことが増える点などを踏まえると、やはり根底には株価の長期低迷や景気後退入りといった「明らかな不名誉」を回避し、高い支持率を得るインセンティブが存在しているはずだとみています。

以上の点を考慮すると、例えば将来的に、①S&P 500がまた弱気相場入りに向かう、②各種経済指標が目に見えて悪化し景気後退が迫る、③支持率が急低下する等、市場・経済・支持率の「痛み」がトランプ米政権の許容範囲を超える状況となれば、再び「トランプ・プット」が発動するとみています。その具体例としては、関税交渉の早期妥結や米政府効率化省(DOGE)による人員削減一段落等の「負の政策の“緩和”」に加え、減税等の「正の政策への注力」等が挙げられるでしょう。

なお、「FRBプット」についても、いざとなれば期待できるとみています。現時点でパウエルFRB議長らは政策金利の変更に関して様子見姿勢を強調しており、大きな動きは見られていません。とはいえ、3月の量的引き締め(QT)のペース減速決定等の「ミニ・FRBプット」が既に出ている点は見逃せません。将来的には、金融市場や労働市場の「痛み」が本格的に強まると、利下げ再開等の本格的な「FRBプット」の発動が予想されます。実際、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でパウエル氏が景気後退への対応が遅れる可能性を問われた際には「時機を逃さず対応する」と発言し、これが株高をもたらす場面がありました。

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