2023/06/22
為替リスクとうまく付き合うには?
5月のリターン
2023年5月の騰落率は年1回決算型、毎月決算型ともにマイナス1.7%でした(図①)。
月報4ページ右上の「代表的な市場の月間騰落率」にある通り、4月とは反対に、記載しているすべての市場が下落していることから、厳しい市場環境だったことが見て取れます(図③)。その理由として「依然として高位なインフレ率や、米国の債務上限問題」とあります。4月の市場が好調だった理由のひとつがインフレ率の低下でしたので、相変わらず市場は物価(インフレーション)の動向に一喜一憂している様子がうかがえます。物価はおおむね落ち着いてきているようですが、運用チームは「Sticky inflation」と表現し、警戒しています。Stickyは「粘着性のある、べたべたする」という意味で、取り去ろうとしてもなかなかすっきりぬぐえない様子が表現されています。
5月の運用の振り返り
さて、前月のコラムで触れたとおり、カバードコールなどのいくつかの資産を売却して(=配分を減らして)得た資金を、ここ数ヶ月間現金として保有していました。5月にはその現金を使って、新興国株式などの資産の積み増しに活用しました(図②)。株式資産をあまり多く増やすつもりはないのですが、新興国株式は、中国の経済再開や米ドル安が新興国株式市場の支援材料になるとの見方から、他の国・地域の株式と比べて底堅く推移するだろうと判断しました。
為替リスクとうまく付き合うには?
本コラム執筆時点で対米ドルで円が140円を突破しました1。円安になると、多くの場合外貨建て資産の資産価値が上昇するので、円安方向に振れれば振れるほど、外貨建て資産を積み増したい気持ちになる人もいるでしょう。そんな時は、「為替リスクの分散」というポイントを思い出しましょう。世界の様々な値動きの異なる資産に投資することで、より安定的な投資を行うという考え方同様、為替動向による資産価値の変動をより安定化させるためには、為替リスクを取る運用と為替ヘッジを行う運用、または円建て資産で行う運用を上手に組み合わせることも一案です。
ここで大事なのは、為替リスクを取るか、為替ヘッジを行うかのどちらかを選ぶのではなく、これらの選択肢をご自身の市場見通しや保有資産の内容によって組み合わせるということです。たとえば、すでに米国株式や米ドル建ての債券、預金などを保有していて、市場見通しとして、「ここからもう少し円安は進むかもしれないが、そろそろ反転し円高に行く可能性もある」という考え方を持っている場合は、米ドル建て資産の一部に為替ヘッジをかける、あるいはベスト・インカムのような為替ヘッジを行っている金融商品を組み合わせる、という考え方を参考にしてみてください。