このページでは、米国の信用市場と労働市場について見ています。
【左】では、米国の信用市場について見ています。【緑色】の金融機関の貸出態度(商工業ローン)や、危機をいち早く察知する「炭鉱のカナリア」と呼ばれる米国ハイ・イールド債券の動向を見てみましょう。コロナ禍という特殊な景気後退ではなく、2001年3月からや2007年12月からの景気後退では、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ後に金融機関の貸出態度が厳格化していき、【灰色】のハイ・イールド債券の信用スプレッドが本格的に拡大してから、景気後退が来ていたことがわかります。足元では、米国のシリコンバレー銀行破綻前の2023年1月時点で、既に金融機関の貸出態度が過去の景気後退時並みに悪化していたことがわかります。
【右】では、米国の労働市場について見ています。基本的に、【緑色】の金融機関の貸出態度(商工業ローン、逆目盛)と【紫色】の雇用者数の伸びは連動し、両者が乖離した場合は、先に金融機関の貸出態度が動き、後から雇用者数の伸びがついてくる傾向があります。この点を踏まえると、足元では金融機関の貸出態度が急速に悪化している一方で、雇用者数の伸びは堅調さを維持していることから、今後は雇用の急速な悪化、ひいては景気後退の可能性を警戒する必要があると考えています。