このページでは、米国の景気後退前の金融市場を見ています。
今後の米国や世界の経済見通しを踏まえると、潜在成長率を下回る低成長の環境に適応しつつ、「もしかすると景気後退に向かっているかもしれない」という可能性にも備えた投資を検討したいところです。この点を考えるにあたっては、過去の米国の景気後退「直前」の市場動向から示唆を得るのも一案です。例えば、過去の「景気後退入り前月までの半年間」のリターンをみてみましょう。
2000年以降の景気後退を振り返ると、①米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げなどでITバブルが崩壊した後の2001年3月からの景気後退【緑色】、②利上げによる住宅バブル崩壊を伴う2007年12月からの景気後退【青色】、③コロナ禍がもたらした2020年2月からの景気後退【灰色】と、様々なパターンがありましたが、これら3回のどのパターンでもリターンがプラスだった資産があります。まず【上段】の資産別でみると、多くが下落する中、世界高配当株式、米国の投資適格社債や国債など一部のインカム系資産は3回ともプラスでした。次に【下段】の世界株式のセクター別をみると、多くのセクターが下落する中、ヘルスケア、生活必需品、公益事業といったディフェンシブセクターなどは3回ともプラスになっています。以上の歴史を踏まえると、「もしかすると景気後退に向かっているかもしれない」という可能性にも配慮した投資を行う上では、これらの比較的安定感をみせた株式や債券への分散投資を検討したいところです。