このページでは、金融システム不安について見ています。
【上】では、米国の金融機関の信用リスクについて見ています。【緑色】は、米ドルの金利先渡し契約(FRA)(取引相手の金融機関の信用リスクを加味したもの)と無リスクの翌日物金利スワップ金利(OIS)の差です。上に行くほど信用リスクが高く、下に行くほど信用リスクが低いことを示しています。2023年3月にはシリコンバレー銀行の破綻などの影響もあり、一時的に金融機関の信用リスクが上昇しましたが、足元では低下傾向にあります。
【下】では、米国の銀行による米連邦準備制度理事会(FRB)からの借り入れ残高を示しています。【青色】は、FRBの連銀窓口貸出制度を通じた銀行貸出のうち、健全な金融機関を対象としたプライマリー・クレジットを示しています。2023年3月には、シリコンバレー銀行などの経営破綻後、金融不安が高まる中で、主に米国の中小銀行の資金繰りが悪化しました。しかし、FRBが「最後の貸し手」として迅速に対応を行い、プライマリー・クレジットの残高は一時急激に増加しました。足元ではプライマリー・クレジットの残高は減少傾向にあり、シリコンバレー銀行の破綻を発端とした一連の金融システム不安は落ち着きを取り戻しつつあるようにみえます。ただし、仮に深刻な金融危機が起きずとも、今回の金融不安が景気悪化に繋がるリスクがある点には注意が必要です。今後、自主的に、もしくは規制強化に備えるべく、銀行の貸出態度が悪化するリスクがあるためです。