このページでは、米国の所得と消費と貯蓄を見ています。
【左】では、個人の所得と消費と貯蓄を見ています。【紺色】は米国の可処分所得を示したものです。高インフレの影響で実質所得が目減りしていましたが、足元ではやや上昇傾向にあります。また、米国の個人消費(実質ベース)は底堅さを維持しています。その内訳を【黄緑色】の財支出(実質ベース)や【オレンジ色】の消費支出(実質ベース)、【紫色】のサービス支出(実質ベース)で確認すると、巣ごもり需要の反動などで財支出が停滞する一方、消費支出や経済再開に伴う旅行などのサービス支出が増加基調にあることがわかります。
但し、「実質所得の悪化と実質消費の増加」という歪(いびつ)な組み合わせが起きていた裏側では、【緑色】の貯蓄率が低下したり、クレジットカードの債務残高が伸びるなど、今後の持続性の不透明感を強めるデータが出てきている点には注意が必要です。
【右】では、米国の消費者マインドを見ています。足元の消費者マインドの歴史的な悪化も不安材料です。【灰色】の米ミシガン大学が発表した2022年6月の消費者態度指数は、高インフレなどを背景に統計開始以来で最低となり、その後は若干回復したものの、足元では依然として低水準となっています。株価急落などによる「逆資産効果」も消費意欲の減退に繋がるリスクがあります。
上記を踏まえれば、米国の個人消費は減速することが予想されますが、当面は力強い雇用や賃金の伸びなどが下支えする面もあるため、すぐに大崩れするとの見方も限定的です(→注:ミシガン大学消費者態度指数は高インフレの影響で歴史的な低水準になっている一方、未だ堅調な労働市場の影響を受けやすい【青色】のコンファレンスボード消費者信頼感指数は、低下が限定的になっています)。