このページでは、ロシアと世界のコモディティ市場を見ています。
【左】では、世界の生産に占めるロシアのコモディティ生産の比率を示しています。資源大国ロシアの供給不安は、多くの分野の価格高騰に繋がります。中でも関心が高いエネルギーについては、米国のようにロシア産の原油や天然ガスの禁輸を決めた国があるほか、買い手が自主的に購入を避ける動きもあります。当面は、未だロシア産エネルギーに強く依存する欧州連合(EU)の動向を注視したいところです。
【右】では、世界の原油生産量を日量で示しています。足元の資源・商品価格の高騰リスクはそう簡単に払拭できませんが、以下のような各種対策が悪影響を若干和らげるかもしれません。例えばエネルギー対策では、①石油戦略備蓄の放出や、②米国などの供給増加が期待されるほか、③原油価格や需給の動向次第で、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)の増産拡大の可能性も高まり、④仮に核合意の再建交渉が進めばイランの供給増加も期待されます(③や④は現時点では不透明である点は注意が必要です)。また、短期というより中長期の対策としては、再生可能エネルギーへの投資を増やす国も増えるでしょう。加えて、世界各国の物価高対策も景気への悪影響をやや抑制する可能性があります。国内では、岸田首相がエネルギー高、食料・資源高、中小企業支援、困窮者支援の4分野の対策をまとめるよう指示していますが、海外でも多くの国や地域で家計・企業への支援策を打ち出す動きがみられます。
以上の各種対策に対する過度な期待は禁物ですが、必要に応じてこうした対策は強化されるでしょう。