このページでは、米国の景気サイクルに関連して、政策金利と長短金利差と失業率を見ています。
2020年の新型コロナなどの特殊な事例もありますが、過去は通常、①米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ【灰色】がどんどん進む中で、②「米国の景気後退の事前サイン」とされる米国の長短金利の逆転(【紫色】の長短金利差が0%を割り込む状況)が生じ、③失業率【青色】が底を打った後に米国の景気後退が訪れています。
政策金利の先行きを予測するフェデラルファンド金利先物をみると、目先は利上げが続くものの、物価のピークアウトや景気減速などが影響し、2023年前半には5%程度で利上げが止まると見込まれています。また、過去は失業率が底をつけてから景気後退が来ていますが、民間エコノミストの予想集計値をみると2023年に景気後退を想定したような失業率の大幅上昇は見込まれていません。
上記の物価とFRBの見通しや失業率の予想をあわせて考えれば、「インフレはピークアウトし、FRBの利上げも落ち着く中で、早期の景気後退入りもまだ確実とはいえない」との期待が市場関係者の間に残っている可能性があります。しかし、2022年は何度もインフレと利上げ見通しの上方修正を経験している点には注意が必要で、現時点で強さを保つ労働市場が今後も崩れないかどうかも毎月の景気指標で確認するしかありません。
まとめると、今後もわれわれは「景気指標が大崩れする前に、物価が明確にピークアウトし、FRBが利上げを止められるか」などを地道に観察し続ける必要があります。