このページでは、過去の地政学リスクと金融市場の動向を見ています。
【左】では、2022年年初来の各資産のトータルリターン(利息・配当含む)を示しています。【オレンジ色】は年初来の市場動向を示しています。物価や金利の上昇に強いエネルギーセクターなどの資源関連株式や、金が堅調だった一方、金利上昇に弱いハイテク株式やグロース株式などが、大幅に下落しました。但し、下記の3局面で物色動向は変化しました。
①【灰色】の年初からウクライナ侵攻前までの期間では、米国の高インフレや金融引き締めが警戒され、金利上昇・株安の展開でした。エネルギーセクターの株式や金などが上昇し、金融セクターの株式も底堅かった一方で、ハイテク株式が急落しました。②【青色】のウクライナ侵攻から原油価格急騰までの期間では、スタグフレーション懸念が強まり、株安・金利低下のリスクオフとなりました。引き続きエネルギーセクターや金が好調だったほか、景気の影響を受けにくいディフェンシブセクターの株式が底堅さを見せ、安全資産として米国国債も買われました。一方、金利低下が逆風となる金融セクターの株式や、ロシアに対するエネルギー依存度が高く地理的にも近い欧州株式が大幅に下落しました。③【紫色】の原油価格急騰後から3月末までの期間では、一時と比べてウクライナ情勢や原油価格への不安が和らぎ、タカ派的な米連邦公開市場委員会(FOMC)も無難に通過すると、株高・金利上昇のリスクオンに転換しました。当該局面では、金利上昇にも関わらずハイテク株式に見直し買いが入った一方、国債や金などの安全資産は下落しました。
【右】では、1970年以降の地政学イベントと米国株式の関係を示しています。米国の景気後退と重なった第4次中東戦争【灰色】や米同時テロ事件【黄緑色】のケースを除けば、12ヵ月後の株価は堅調でした(注:ソ連のアフガニスタン侵攻【緑色】や湾岸戦争【オレンジ色】は、景気後退と重なっていても株高となっています)。