このページでは、中国の中期的な景気・信用サイクルと長期的な技術進歩を見ています。
今年の7-9月期は、中国に関する懸念が強まりました。財新とIHSマークイットが発表した8月の中国のPMIは、新型コロナの感染抑制や政策の引き締めなどの影響で、製造業も非製造業も、好不況の境目である50を下回りました。また、中国政府は貧富の格差を縮める「共同富裕」への取り組みを強めており、インターネットや教育、不動産などへの規制強化懸念も強まっています。中でも不動産は、一部企業の信用不安も高まりました。
当面は中国の景気や金融市場は、不安定な状況が続く可能性があります。一方で、今後の景気下支え策の発動や、長期的な高い成長期待といった明るい材料にも注目したいところです。
景気下支え策に関しては、中国政府がインフラ投資などの財政面で景気を下支えし、金融政策でも、預金準備率が再度引き下げられることなどが期待されます。これらの政策効果で、景気の急速な悪化は回避できるかもしれません。【左】を見ると、過去は【水色】の預金準備率が引き下げられると、与信が伸びて【茶色】のクレジット・インパルスが持ち直し、その後に【薄紫色】の製造業PMIも底打ちする傾向が見られます。
次に、中国の長期的な成長期待に関しては、【右上】の国際特許出願件数や、【右下】の研究開発費に注目です。中国政府は一部の産業や企業への規制を強化する一方で、長期的な経済発展を見据えた産業政策を推進しており、近年は研究開発に注力する中で、国際特許出願件数が増加しています。