このページでは、米国の民間部門の投資や債務の状況と景気後退を見ています。
仮に米国が景気後退に入る場合、それがマイルドなのか深刻なのかを考えてみましょう。結論から言えば、下記3点などを踏まえると、現時点ではマイルドな景気後退になる可能性が高いとみています。
①【左】で示す通り、今回の景気拡大期では、住宅や設備の投資ブームが起きているようには見えません。例えばリーマン・ショック前の住宅バブル期のように投資に過剰があれば、その後の反動減も大きくなりますが、今回は投資に関して行き過ぎた心配をする必要はないかもしれません。
②上記の投資とも関係しますが、【右上】および【右下】の通り、米国の民間部門の債務状況も過度に懸念されていません。まず、家計の債務や債務返済比率は2010年代から低下傾向で改善しています。企業の債務は高水準ですが、債務返済比率などもあわせてみれば、深刻な状況には至っていません。
③最後に、米国の金融システムに関しても、米連邦準備制度理事会(FRB)のストレステスト(健全性審査)の結果などを見る限り、大手銀行は不況への耐性を備えているとされています。
以上の材料を踏まえれば、一部の家計や企業、金融機関はともかく、米国全体でみた場合は行き過ぎたブームの破裂による深刻な景気後退になる可能性は低いと考えます。