このページでは、2022年のグローバル金融市場の動向を見ています。
【左】では、2022年の各資産のトータルリターン(利息・配当含む)を示しています。資産別のリターンランキングをみると、エネルギーセクターを除くすべての資産が年間でマイナスのリターンとなっています。
【右】は2022年の米国の金利と株式、企業業績とバリュエーションを示しています。【紺色】の米国10年国債利回りが、高インフレなどを背景とした米連邦準備制度理事会(FRB)による急速な利上げを受けて上昇したことや、今後の景気に対する懸念が高まったことなどを背景に、【緑色】のS&P 500は下落しました。株価の変動要因を【紫色】の予想1株利益(EPS)と【オレンジ色】の予想株価収益率(PER)に分けて確認すると、2022年「前半」は金利上昇や景気減速懸念の高まりなどを背景としたリスクオフを受けて予想PERが低下し、これが株価下落の主な要因になりました。一方で、予想EPSは上昇しており、株価の下支え要因となっていました。2022年「後半」は予想PERが上昇と下落を繰り返し、年末時点の予想PERは、年前半終了時点と比較して若干の上昇となりました。一方で、年前半の株価の下支え要因であった予想EPSは、景気減速などを背景とした企業業績の悪化懸念を受けて低下しました。仮にこれからインフレや金利に関する脅威が弱まっていくとしても、少なくとも当面は更なる景気減速(場合によっては景気後退)や企業業績の悪化懸念が残る点には注意が必要です。このように、2022年の金融市場を振り返ると、高インフレと金融引き締めが金利上昇(債券価格の下落)と株安をもたらし、「分散投資が機能しない」ことが深刻な問題となりました。しかし2023年は、この悩ましい状況から徐々に脱却できる可能性があると考えます(→Guide to the Marketsの32ページ参照)。