このページでは、2022年前半のグローバル金融市場の動向を見ています。
【左】では、2022年年初来の各資産のトータルリターン(利息・配当含む)を示しています。【青色】は2022年4-6月期のトータルリターン(利息・配当含む)です。2022年4-6月期の市場を振り返ると、「インフレ→利上げ→景気後退」が懸念され、米国長期金利の上昇と株安が生じました。また、2022年6月にはS&P 500が2022年1月3日の直近高値から20%以上下落し「弱気相場」に入りました。①株式の国・地域別(日欧は現地通貨、米国と新興国は米ドル・ベース)では、日本が底堅く推移しました。円安や金融緩和などの景気支援策、経済再開、相対的な割安感などが背景にあると考えられます。②株式のスタイル別(世界株式ベース)では、企業業績の不透明感が強まった時に選好されやすく、バリューの性質も備える高配当株式の下げ幅が限定的でした。一方で、金利上昇に弱いグロース株式は大きく下落しました。③株式のセクター別(世界株式ベース)では、原油高が追い風となったエネルギーセクターや、景気に左右されにくい生活必需品、ヘルスケア、公益事業などのディフェンシブセクターの下落が抑えられた一方、金利上昇や景気悪化に対して脆弱な情報技術セクターの下げ幅は大きくなりました。④債券市場(米国)では、景気懸念が強まる中で発行体の信用力が意識され、国債よりもハイ・イールド債券などの社債の下げが大きくなりました。
2022年4-6月期の金利上昇(=債券安)および株安、グロースよりバリュー株式優位といった特徴は2022年1-3月期と共通していますが、細かく見れば異なる点もあります。例えば、1-3月期は米国の株式やハイ・イールド債券などのリスク資産が米国国債ほど下げなかった一方、4-6月期はリスク資産の方が大幅安でした。また、1-3月期はインフレや金利上昇に強く、景気敏感の特性をもつエネルギーや素材、金融セクター株式が絶対リターンでも堅調でしたが、4-6月期はいずれもマイナスリターンでした。これらは、市場が「物価・金利上昇」よりも「景気悪化」を警戒し始めた可能性を示唆しています。【右】では米国の物価見通しと経済指標、金利と株式の動きを示しています。実際に4月下旬以降は、予想より悪い米国の景気指標が続出する中で、債券市場の期待インフレ率(10年)が低下基調に転じています。