このページでは、原油とゴールドを見ています。
【左上】と【右上】では、金価格とS&P 500の推移を示しています。【左上】の1973年の第1次石油危機後の景気後退期は、株安と長期金利の上昇(=債券価格は下落)が併存し、株式と債券の分散投資の有効性が低下したことが資産運用を難しくしました。しかし視野を広げれば、例えば金や原油を含む商品などインフレに強い一部の実物資産の価格は上昇していたため、これらを「スタグフレーション対策」としてポートフォリオの一部に組み入れておくのも一案です。
ここで注意すべきは、商品や金などはあくまでもポートフォリオの「一部」として捉えるということで、集中投資は避けたほうがよいと考えます。というのも、例えば「安全資産」とされる金も、①リスクオンや、②【左下】が示しているように、物価の上昇以上に金利の上昇が意識される局面(=実質金利の上昇局面)では下落傾向があります。また、一部の商品価格も、足元では上昇や高止まりが警戒されていますが、当然一本調子で上がり続けることはなく、価格変動リスクが高いといった点をおさえておくべきでしょう。
【右下】では、原油価格と、S&P 500のエネルギー・セクターとS&P 500全体の相対価格を見ています。相対価格は、上に行くほどエネルギー・セクターが優位であり、下に行くほど同セクターが劣後していることを示しています。また、この相対価格と原油価格には連動性が見られます。ただし、足元では、原油価格は2020年3月に急落した後大きく戻しているものの、エネルギー・セクター全体のパフォーマンスの回復は遅れています。