このページでは、主要国・地域における株式のリターンの寄与度をみています。
【右】で示した、今年の年初来の株式リターンは、先進国を中心に堅調です。1月下旬には、米国株式市場における一部の個人投資家集団の投機がもたらした混乱がありました。また、2月から3月にかけては、米国10年金利の上昇ペースが加速したことが逆風となりました。しかし、それでも株高が続いたのは、なぜでしょうか。
ここでは、株高の背景を考える上で、株価を構成する、①予想株価収益率(PER)【黄緑色】と②予想1株利益(EPS)【灰色】に分解して考えます。
①まず予想PERは、年初来で小幅に低下しました。これは、米長期金利の上昇で株価の割高感が意識され、投資家心理を悪化させたことなどが表れていると言えるでしょう。但し、低下したといっても、急落というほどではありません。
②一方、予想EPSは、年初来で先進国を中心に大幅に上昇しています。つまり、予想PERの低下がもたらす株安圧力を、力強い景気回復見通しを反映した予想EPSの上昇で跳ね返した結果、株高になったと整理することができます。
【補足】 同じ株高でも、昨年と今年で中身は真逆?
【左】で昨年のリターンをみると、1年を通してみれば、「予想PERの大幅上昇(≒投資家心理の改善)がもたらした期待先行の株高」だったことがわかります。特に、株価がコロナ・ショックの最安値を付けた昨年3月から6月頃までの急速な株高は、財政・金融政策への強い期待などを背景とする予想PERの切り上がりが主導していました(→同期間に、予想EPSは大幅に低下)。同じ株高でも、予想PERの上昇に頼った株高は持続性が乏しいと考えられるため、予想EPSの上昇へとドライバーが移行したことは安心材料と捉えることができるかもしれません。