このページでは、投資家心理と株式市場を見ています。
【左】は株式相場の先行きに対して「強気」と答えた米国個人投資家の割合を示しています。投資家のセンチメントはかなり弱気に傾いており、今後の材料次第では悲観からの揺り戻しで株高に転じる可能性も考えられます。例えば米個人投資家協会(AAII)の調査をみると、2022年の4-6月期や7-9月期は「強気」の投資家の割合が20%を切る局面が何度かありましたが、過去30年間でみると、同様の悲観状態に陥った後の短中期の米国株式のリターンは堅調でした(→注:10回中9回、世界金融危機前の2008年1月のケースを除く)。
【右】は世界景気のサイクルと世界株式の動向を示していますが、【紫色】のグローバル製造業PMIと【緑色】の世界株式の騰落率の関係をみると、現在の景気指標対比で2022年の株安はやや行き過ぎであり、これは今後の景気「減速本格化」が十分織り込まれていることを表していると考えます。
上記などを踏まえれば、今後も株価が下落一辺倒になるとは限りません。とはいえ、業績見通しの下方修正リスクなども考慮すると、株式市場が景気「後退」を十分織り込んだと言える状況には至っていないとみており、今後も景気「減速」に止まらず景気「後退」に陥るとの懸念が強まれば、追加的な株安圧力になるでしょう。結局のところ、今後も、データを丁寧に観察し、景気「後退」の有無を見極めることが重要になります。