このページでは、世界経済の成長ペースと中国の信用サイクルを見ています。
足元の景気加速やグローバル製造業PMIの上昇がずっと続くと考えるべきではないでしょう。景気は必ず循環し、拡大と後退、拡大期の中でも加速と減速を繰り返します。
【左】は、世界の経済成長率とグローバル製造業PMIをみています。【青い点線】の世界の実質GDP成長率の見通しを見ると、仮に春から夏にかけて、欧米などで、順調に経済が正常化した場合、世界景気の加速は、早ければ今年の秋冬に一服し、来年にかけて緩やかに減速する可能性が示されています。これは、①経済の正常化やリベンジ消費がある程度進むと、その後の景気拡大ペースは一時ほどではなくなる、②米国の追加対策の効果が徐々に低下する、③世界の異例の景気刺激策が段々縮小していく、などが背景です。
③に関しては、来年以降の米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和縮小などが気になりますが、既に中国では異例の対策が終わり、信用サイクルがピークアウトしたように見えます。
【右】は、【赤色】で中国の新規与信の伸びを表す中国のクレジット・インパルス(12ヵ月先行)を見ています。同指標は、既に昨年の秋にピークアウトしたように見えます。この動きは、中国のインフラ投資などがこれから鈍化する可能性を示唆しています。中国のクレジット・インパルスは【紫色】のグローバル製造業PMIに12ヵ月ほど先行する指標としても注目されています。
もっとも、仮に今年の秋冬に景気拡大の「加速」が止まり、グローバル製造業PMIがピークアウトしても、引き続き景気は底堅く、景気後退が迫るとはみていません。