このページでは、米国の景気サイクルと株式のファンダメンタルズとバリュエーションを見ています。
当面はまだ「米国及び世界の景気後退の有無」を見極める状況が続くとみており、この点が定まらないうちは、株価が下落又は上昇一辺倒になるというより、一喜一憂を繰り返す展開になる可能性があります。
株価が持ち直すケースの一例としては、米国のインフレの各種先行指標やインフレ期待の落ち着きが示唆する通りにインフレのピークアウト傾向が確認され、再びFRBの利上げのペース鈍化や打ち止め観測が高まる展開などが考えられます。一方、仮にインフレ率が鈍化傾向に転じたとしても、遅れてくる金融引き締めの悪影響などで経済指標の悪化が鮮明となる場合は「もはや手遅れ」で景気後退は避けられないとの懸念が強まり、株価の持ち直しがまたも短命に終わる可能性があります。
当面は方向感のない相場が続くことが予想される中、今後は「株価を動かす原動力の変化」に注目が集まる可能性があります。【左】はS&P 500の騰落率の項目別寄与度と景気サイクル(四半期)を示しています。株価を①予想株価収益率(PER)と②予想EPS(1株利益、12ヵ月先)に分解して整理してみると、今年の年前半は①金利上昇などによる予想PERの大幅低下が強い株安圧力をもたらす「逆金融相場」となった一方、②予想EPSは堅調な景気を背景に上昇し、株価を下支えする要因となりました。しかし今後は、①今や過去平均並みになった予想PERの低下リスク以上に、②企業景況感などと連動して予想EPSが低下する「逆業績相場」になるリスクの方が警戒される展開に移行する可能性があります。