このページでは、世界景気のサイクルと各資産のリターンを見ています。
今後の米国や世界の経済見通しを踏まえると、少なくとも当面は景気の更なる悪化を想定しつつ、「もしかすると景気後退に入るかもしれない」というリスクにも配慮した投資を検討したいところです。この点を考えるにあたっては、足元のようにグローバルの製造業購買担当者景気指数(PMI、3ヵ月移動平均値)が節目の50未満で、かつ低下傾向だった局面の過去の月次リターン(平均値、図の棒グラフ)から示唆を得るのも一案です。当該データのポイントは以下の2点です。
①PMIが50未満で低下傾向であっても、米国の景気後退を回避できた【緑色】の局面、また、米国が景気後退入りした【紫色】の局面、いずれにおいても、米国の国債や投資適格社債などの信用力が高い債券はプラスのリターンでした。PMIが50割れで低下するような景気の本格悪化が意識されると、金融引き締め懸念が低下したり、金融緩和期待が高まることで、金利が低下し始めたことが背景にあると考えられます。
②一方、株式やREIT、ハイ・イールド債券は、景気後退を回避できた【緑色】のケースでは上昇したものの、景気後退入りした【紫色】のケースでは下落しています。つまり株式などは、上記①の金利低下だけで上昇するとは限らず、結局は景気後退が回避できるかが重要と言えそうです。
以上を踏まえれば、今後もPMIが50未満で低下する場合、信用力の高い債券は底堅い一方、株式は景気後退の有無の見極めがつくまで一喜一憂する可能性があるでしょう。
【補足】当面の経済や金融市場の見通しを踏まえた投資戦略は?
上記でまとめた過去の各資産のパフォーマンスと足元の米国の景気後退懸念の高まりを踏まえれば、当面は株式よりも信用力の高い債券を選好したいところです。
また、株式の中では、仮に景気後退入りとなった場合に下値抵抗力が期待できるスタイルやセクターを選好するのが一案でしょう。例えば、【紫色】の株式のリターンを見比べた場合、利益率が高く財務も健全なクオリティー株式や企業業績が景気動向に左右されにくいディフェンシブセクターなどが相対的に底堅かったことがわかります。