このページでは、米国の景気後退前の資産別リターンを見ています。
短中期の視点で資産運用を考えると、投資家は①高インフレと景気減速が併存する「スローフレーションという現状」に対応すると同時に、②今が景気後退の1年前や半年前かもしれないという「リスクシナリオ」も意識した投資戦略を考えたいところです。①のスローフレーション下での投資戦略は、(A)高インフレ(及び金利上昇)に対応する観点から資源関連を含むバリュー株式、(B)景気減速に対応する観点からディフェンシブ株式や債券を含むインカム系資産が有望と考えます。ここで重要なポイントは、高インフレ(及び金利上昇)と景気懸念という2種類の不安がもう暫くは行ったり来たりすることが予想されるため、(A)か(B)どちらかの対策だけでは不十分で、両方の有望資産への分散投資を検討したいという点です。
なお、これらのスローフレーション対策は、②の景気後退が近づいているかもしれないという「リスクシナリオ」への対処にもなり得るとみています。例えば、直近3回の米国の景気後退の「1年前から半年前」の資産別リターンをみると、バリュー株式とインカム系資産は3回ともプラスのリターンでした。続いて「半年前から景気後退入り直前」のリターンをみても、多くの資産が下落する中、世界高配当株式、米国の投資適格社債や国債など一部のインカム系資産は3回ともプラスになっています。