このページでは、過去の米国株式の弱気相場(株価の継続的な下落局面)を見ています。
世界景気の下降サイクルが「2023年内には」反転する可能性があり、これは米国株式の弱気相場にもあてはまるかもしれません。まず、「目先の」米国株式の動向を考えてみましょう。第2次世界大戦後の歴史の中で、S&P 500は、景気後退の開始前に底を付けたことはありませんでした。そのため、仮にこれから景気後退が来ると想定する場合、S&P 500はまだ底値を付けていないとの見方が強まります。
但し、下記2点の過去の歴史を考慮すれば、仮に米国が景気後退に入るとしても、2023年中には弱気相場が終わる可能性があり、2022年のように1年中暗いムードにはならないかもしれません。
①S&P 500は景気後退の開始前に底を付けたことがない一方、2001年の例外を除けば、景気後退の終了前に底を付けていました。つまり、景気後退期間中に強気相場が始まる可能性は意識すべきでしょう。
②2022年初から始まった今回の弱気相場がさらに続く場合でも、2023年3月末時点で既に過去平均の1.2年を経過しており、2023年末には約2年が経過する計算になります。過去10回の弱気相場のうち2年を超えたのは2000年に始まったケースしかありません。
【補足】異例の2000年からの弱気相場。景気後退終了後も下げ続け、2年以上も下落した背景は?
上記のポイント①と②でまとめた通り、2000年から始まった弱気相場は、2001年の景気後退期中に底値を付けなかったという点と、2年以上も下げ続けたという点で異例でした。当時は、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め→ITバブル崩壊→景気後退→同時多発テロ事件→不正会計問題と悪材料が続出し、これらが株式の長期低迷に繋がりました。もちろん、今回の弱気相場でこのような「泣きっ面に蜂」状態が生じないとは言い切れませんが、現時点では異例のケースとして捉えてもよいでしょう。